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How to create maps with the new Map Viewer of ArcGIS Online

SHIRAI, Satoko

Abstract

This paper presents a practical manual for producing geolinguistic maps using the new Map Viewer in ArcGIS Online, a web-based GIS platform provided by Esri. Officially released in April 2021, the new Map Viewer replaced the previous version, Map Viewer Classic. Classic has been widely used in geolinguistic research for many years because it offers flexible mapping capabilities, even in its free version. However, it is scheduled to be retired in early 2026. The interface of the new Map Viewer differs significantly from Classic. This paper aims to provide a practical guide for researchers in adapting to the updated environment and efficiently producing geolinguistic visualizations using ArcGIS Online. The manual outlines essential procedures tailored to geolinguistic research, including data preparation, CSV formatting, layer uploading, map styling, symbol customization, and layer sharing. Emphasizing the importance of linguistic classification in map design, the manual provides step-by-step guidance for incorporating external symbols, adjusting legend order, and refining visual representation to reflect linguistic relationships. Additionally, it discusses the limitations of the public account (the free version) and the advantages of the Personal Use license, which enables hosted feature layers, collaborative editing, and advanced sharing options.

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『地理言語学研究』 | Studies in Geolinguistics 5, 2025 83 資料(特集:2025 年における地理言語学の手法) ArcGIS Onlineの新たなMap Viewerによる地図作成方法 白井聡子 東京大学 How to create maps with the new Map Viewer of ArcGIS Online SHIRAI, Satoko The University of Tokyo Abstract: This paper presents a practical manual for producing geolinguistic maps using the new Map Viewer in ArcGIS Online, a web-based GIS platform provided by Esri. Officially released in April 2021, the new Map Viewer replaced the previous version, Map Viewer Classic. Classic has been widely used in geolinguistic research for many years because it offers flexible mapping capabilities, even in its free version. However, it is scheduled to be retired in early 2026. The interface of the new Map Viewer differs significantly from Classic. This paper aims to provide a practical guide for researchers in adapting to the updated environment and efficiently producing geolinguistic visualizations using ArcGIS Online. The manual outlines essential procedures tailored to geolinguistic research, including data preparation, CSV formatting, layer uploading, map styling, symbol customization, and layer sharing. Emphasizing the importance of linguistic classification in map design, the manual provides step-by-step guidance for incorporating external symbols, adjusting legend order, and refining visual representation to reflect linguistic relationships. Additionally, it discusses the limitations of the public account (the free version) and the advantages of the Personal Use license, which enables hosted feature layers, collaborative editing, and advanced sharing options.* キーワード:言語地図;地理言語学;地理情報システム(GIS);地図作成;共同研究 Keywords: linguistic map; geolinguistics; Geographic Information System (GIS); map production; collaborative research 白井聡子 (2025)「ArcGIS Onlineの新たなMap Viewerによる地図作成方法」『地理言語学研究』5: 83–108. doi: https://doi.org/10.5281/zenodo.17479571  本稿は、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同利用・共同研究課題「アフロ・ユーラシア 地理言語学研究」(jrp000306)による成果の一部であり、JSPS科研費 国際共同研究加速基金(国際先導研究) No. 24K23937「「時空言語学」の創成:地理と歴史を融合した言語の変化と発展への新たなアプローチ」お よび基盤研究(C)23K00476「ダパ語形態統語法の総合的研究」の助成を受けている。本稿の内容について、 「アフロ・ユーラシア地理言語学研究」メンバーおよび東京大学での講義「アジア地理言語論」の履修者か らフィードバックをいただいた。感謝申し上げる。 『地理言語学研究』 | Studies in Geolinguistics 5 84 1. はじめに 本稿は、地図作成ツール ArcGIS Online(https://www.arcgis.com/)を地理言語 学的研究に利用するためのマニュアルである。地図の作成は、地理言語学の研 究手法において核心をなす。近年の地理言語学的研究においては、一般に、地 理情報システム(GIS)を用いたデジタルによる作図が行われている。地理言 語学/言語地理学に用いられてきたツールとしては、ArcGIS のほかに MANDARA (https://ktgis.net/mandara/), SIS (https://www.informatix.co.jp/sis/)など がある。中でも Esri社が提供する ArcGIS Online は、無料版でもフレキシブル な地図作成が可能で、多くの研究において利用されてきた。ところが、2021 年 4月に新たな Map Viewer が正式版としてリリースされ、それまで利用されて いた旧バージョン(Map Viewer Classic)が 2025 年から通常メニューにおいて アクセスできなくなった1。旧バージョンは、東京外国大学アジア・アフリカ 言語文化研究所共同利用・共同研究課題として 2期にわたって実施された「ア ジア地理言語学研究」「アジア・アフリカ地理言語学研究」およびその研究成 果として刊行された Endo et al. (eds.) (2021), Suzuki et al. (eds.) (2022), Suzuki et al. (eds.) (2023), Fukishima et al. (eds.) (2023) などにおいて地図作成に利用され ている。現行の新バージョンは、その旧バージョンとはインターフェースが大 きく異なる。利用方法については同社サイト内に詳細なチュートリアルがあり (https://www.esri.com/en-us/arcgis/products/arcgis-online/resources)、日本語を含 む多くの言語版も用意されているものの、そこから地理言語学的分析に用いる 地図の作成に必要な機能を探し出すのは容易ではない。 このような状況において、地理言語学における地図の作成に必要な機能に絞 った日本語マニュアルをまとめ、『地理言語学研究』のプラットフォームから 共有することが、現在進展しつつある地理言語学研究に貢献するものと考える。 ArcGIS Online 旧バージョンについては、遠藤(2015)が研究グループ内のマ ニュアルとして使用されてきた。データ準備などの基本的な部分には共通する 部分も多い。遠藤(2015)は未公刊のため、本稿ではそれと部分的に重複する 内容があっても一般的内容であれば断りなく記載する。複数の方法が可能な部 分もあるが、なるべくシンプルで環境に依存しない方法を示す。なお、本稿に おける操作は、Windows 11 を搭載した Let’s note CF-SR 上で、Google Chrome ブラウザを用いて ArcGIS Online(2025 年6月版)を使用して行った。 本稿は次のように構成される。第 2節でデータ準備について、第 3節でデー タのアップロードについて、第 4節で地図の調整について、第 5節で作成した 地図の共有について説明する。第 6節で総括を述べる。 1 執筆時点ではClassicのサイトhttps://www.arcgis.com/home/webmap/viewer.htmlに直接アクセスすることで 利用可能だが(鈴木 2025)、2026年に廃止予定。 白井「ArcGIS Onlineの新たなMap Viewerによる地図作成方法」 85 2. データ準備 2.1. 基本事項 地図に取り込むデータは、CSV(Comma-Separated Values)ファイルの形に するとよい 2 。Microsoft Excel, Google Spreadsheet などの表計算ツールでデータ を管理し、CSV に変換することができる。 データにおいて必ず必要なのは、地点ラベル(言語/方言名)、緯度、経度、 対象となる値(語形式や分類したタイプ名など)である。これらを列ラベルと する。具体的な語形とタイプを別の列にしたり、資料情報、入力者、地名など の列を追加しても問題ない。ここで、Shirai and Huang(2024)において使用し たデータの一部をサンプルとして、図 1に例を示す。ここでは、language とい う見出しの下に方言・言語名、Xに経度、Yに緯度を入力してある。緯度経度 の情報は、GoogleMaps のようなオンライン地図で地点を右クリックし、標示 される数値をそのまま入力するとよい。GoogleMaps では小数点以下 6~8桁程 度が求められる。次の Source 列には調査者名を入れたが、二次資料を用いる 場合は参考文献を略記する。form 列は語形の音韻表記、type 列は諸方言の形 式を検討し分類して付したラベルを記入してある。 図1:データ入力例 右端のタイプ列に入力する時点で、言語学的分析による分類が前提となる。 地理言語学的地図の作成における分類の重要性については、本稿では立ち入ら ないが、柴田(1969)などに繰り返し述べられている。分類における試行錯誤 の例としては加藤(1962)などもよく知られている。現行の ArcGIS Online を 用いた手順の具体例については、本特集内の遠藤論文(遠藤 2025)を参照し ていただきたい。 このように整理したデータから、Excel であれば「名前を付けて保存」で「CSV UTF-8」という形式を選んで CSV ファイルを作成する(図 2)。以上が、基本 手順である。 2 ArcGIS Onlineの旧バージョンではテキストファイルも使用できたが、現行バージョンには取り込むことが できない。 『地理言語学研究』 | Studies in Geolinguistics 5 86 図2:CSVへの変換 2.2. 注意事項 この時点で CSV ファイルに不備があると、ArcGIS Online に正しく取り込む ことができない。これまで実際にあったトラブル事例に基づき、注意すべき点 を以下に列挙する。  Unicode に準拠したフォントだけを使う。 外部フォントを混在させると互換性がなくなってしまう可能性があ る。システムに標準装備されたものを用いるとよい。  地図化の対象となる、タイプ列ないし語形列は、同一の記号を与えたい 値が完全に一致していること。 わずかな違いでも別形式として処理されるので、コピー&ペースト で入力するなど。スペースは見えないので特に注意が必要である。  データ定義に関わる記号や余計な空白行を入れない。 対象となる記号でよく紛れ込むものに、コンマ「,」、引 用 符「 “ ”」、 改行などがある。入ると正しく読み込まれない。 複数の語形を一つのセルに入れようとしてコンマで区切ってしまい、そのた めにセルがずれて認識されてしまったことがある。一つの地点に異なる語形が 現れることを示したい場合は、行をあらためる必要がある。その際、もう 1つ の行にも、language, X, Y など各列の内容をコピーする。 このほか、一般的注意として、同じヘッダー名(列ラベル)を複数の列に付 けないこと、 アンダースコア「_」の使用を避けること などが挙げられる。 白井「ArcGIS Onlineの新たなMap Viewerによる地図作成方法」 87 3. アップロード 3.1. アカウント作成 ArcGIS Online にはいくつかのプランが用意されている。個人で言語地図を 作成し、そのまま画像ファイルにしたり公開したりするだけであれば、無料の public プランで問題ない。他の制作者と地図レイヤーを共有して複数人が作成 した地図を重ね合わせるなど、やや高度な編集を行いたい場合は、有料プラン が必要になる(5.3 節)。所属先が契約していれば組織アカウントを取得でき る可能性が高いが、そのアカウントは所属先変更の際などに移行することがで きない。さまざまな条件を考慮して適したプランを選択したい。 非営利の研究目的で有料プランを選ぶ場合、パーソナルユース(執筆時点で 年間 100 ドルのプラン)が適していると思われる。ArcGIS Online トップペー ジの Pricing/価格タブからは商用利用を前提とした非常に高額なプランのみが 案内されているので、“ArcGIS Personal Use”で検索して利用するとよい。 無料で利用できるアカウントの設定方法は次のとおりである。まず、トップ ページ(https://www.arcgis.com/home/index.html)右上の「サインイン」(図 3) から、ジャンプ先の下部にある「アカウントの作成」を選択する(図 4)。 図3:トップページからサインインへ 『地理言語学研究』 | Studies in Geolinguistics 5 88 図4:アカウント作成へ ジャンプ先の下部にある、“Create a public account”を選択する(図 5)。この とき、上部に示される“Start a free trial”というのは、有料版の試用なので注意 が必要。無料プランの名称は、「パブリックアカウント」である。 アカウントを取得してログインすると、図 6のような画面になる。新規地図 を作成する場合は Map/マップを、以前保存した地図の編集を再開する場合は Content/コンテンツを選択する。 図5:パブリックアカウントを選択 白井「ArcGIS Onlineの新たなMap Viewerによる地図作成方法」 89 図6:地図の作成・編集へ 3.2. CSVデータのアップロード それでは、第 2節で準備した CSV ファイルをアップロードしよう。図 7を 参照していただきたい。地図画面から、左上の方にあるシートを重ねたような マークから、Layers/レイヤーメニューを開く。Add と書かれたボタンの右に v のようなマークがある。これを押して現れるメニューから、Add layer from file を選択する。アップロードボックスが現れるので、そこに CSV ファイルをド ラッグ&ドロップする。 パブリックアカウントでは、地図に取り込む方法はこれだけのようである。 有料版では、Content に新しいアイテムを追加することでも地図用 CSV ファイ ルを取り込むことができる。パブリックアカウントでは、Content にCSV ファ イルを加えること自体はできるものの、それを地図化する方法が見つけられな かった。 『地理言語学研究』 | Studies in Geolinguistics 5 90 図7:アップロード 図8:地図に反映させるための入力画面とタグの指定 白井「ArcGIS Onlineの新たなMap Viewerによる地図作成方法」 91 目的のファイルをドラッグ&ドロップすると、次の段階に進む。有料プラン では最初にファイル追加形式の選択を問われるが、ひとまずどちらでもよい。 これについては第 5節で説明する。次に(パブリックアカウントでは最初に) 読み込むフィールドの種類を問われるが、通常は自動で選択される。不要なフ ィールドのチェックを外して“Next”に進む。次に緯度経度の列が正しく選択さ れているかを確認して進む。最後に、地図のタイトルや Content 内の保存先フ ォルダーを決める画面になる(図 8)。いずれも後で変更可能である。タイト ル欄には CSV ファイルの名前が入っているので、必要に応じて変更する。フ ォルダー選択画面の下にタグ入力欄があり、この時点で空白でも問題ないが、 適宜キーワードのたぐいを半角英数字で入力し Enter で確定すると、新たなタ グとして登録される。右下の“Create and add to map”ボタンを押すと、アップロ ード手順は完了である。地図上に、アップロード時に決めた名称を持つレイヤ ーが組み込まれる。同じ手順を繰り返せば、同一の地図に、新たなレイヤーと して追加のデータをアップロードすることもできる。 4. 地図の調整 前節までの手順を正しく進めると、この時点で地図が自動的に生成され、フ ァイル内の地点が図 9のように点で反映される。右側の Style メニューが表示 されていない場合は、左側からレイヤーを選択する。図 7で示したようにレイ ヤーメニューを開き、アップロードしたデータが反映されたレイヤー(図 9で は sampledata_nDrapa_we という文字が書かれたエリア)をクリックする。次 に右のメニューから上から 2番目の Styles を選ぶ。そこで現れるメニューの Choose attributes のField ボタンから、地図化したいデータが入った列(今回は type 列)を選択する。 『地理言語学研究』 | Studies in Geolinguistics 5 98 図15:ラベルの設定 記号が載る地図、つまりベースマップをさまざまな種類から選ぶことができ る。図 16 のように左側メニューの Basemap を選択すると、さまざまなタイプ が選択肢として表示される。ベースマップをこの選択肢のいずれかに切り替え るには、目的のものをクリックすればよい。さらに、下にスクロールして Living Atlas をクリックすると、Esri サーバーから提供されるさまざまなベースマッ プを検索して利用できる。別言語で表示された地図を使いたい場合はここから 探す必要がある。地図データと地名データを別々に選んで重ねることもできる。 白井「ArcGIS Onlineの新たなMap Viewerによる地図作成方法」 99 図16:ベースマップの選択と検索 図17:ベースマップの調整 『地理言語学研究』 | Studies in Geolinguistics 5 100 選択肢が並ぶ窓の最上部には、Current basemap という欄があり、選択中のベ ースマップが表示されている。ここから、レイヤーと似た手順で調整を行うこ とができる。ベースマップ名をクリックすると、図 17 に示すように、ベース マップ自体もいくつかのレイヤーからできていることが分かる。その構成はそ れぞれに異なるが、Living Atlas から検索によって取得した、図17 のLight Gray Canvas というレイヤーでは、地名が記載されたレイヤー(Light Gray Canvas Reference)が地図本体のレイヤーとは別になっている。例えば、このレイヤー を選択した状態で、右側のメニューから Transparency を調整すると、文字だけ を半透明にして、地図記号を目立たせることができる。 以上の手順で、地図が完成する。地図の保存は、左側のフォルダーマークか ら行う。図 18 のように、未保存の変更がある場合はここにランプがつく。新 規保存(名前を付けて保存)の際には、CSV ファイルのアップロード時と同様 に、タイトル、保存先フォルダー、タグを入力する。 図18:地図の保存 5. 地図の利用 5.1. 画像ファイルの取得と利用 ArcGIS Online で作成した地図を、発表資料や論文などに掲載する場合、地 図の著作権情報を同時に掲載する必要がある。Map Viewer では図 19 のような 表示が下部にある。画面が小さい場合は途中で切れて「…」となっていること 白井「ArcGIS Onlineの新たなMap Viewerによる地図作成方法」 101 があるが、その場合はこの部分をクリックすると図 19 のように複数行になっ て全体が表示される。地図のスクリーンショットを撮る場合にもこの部分が含 まれるように注意する必要がある。以下で説明する画像ファイルへの変換にお いては、図 20 のように地図の外側、ページの右下に権利表示が入る。地図部 分をトリミングする場合は、この情報も忘れず同じページに入れる必要がある。 図19:Map Viewer における権利表示 図20:変換した画像における権利表示 ArcGIS Online で作成した地図は、PDF, GIF, PNG, TIFF などさまざまなフォ ーマットの画像ファイルに変換して取得することができる。この手順は、左側 メニューの“Print”から行う。画面が小さい場合は、このメニューは三点メニュ ー「…」の中に折りたたまれている(図 21)。印刷サイズ、縦横を“Template” から選び、“File Format”からファイル形式を選択する。その下の“Advanced options”メニューを開くと、解像度など詳細な設定ができる。解像度は初期設 定で 96dpi となっていて、そのままでは紙に印刷するには不十分である。必要 な解像度は出版方針によって異なるが、300dpi 以上が求められることが多い だろう。これらの設定を決めたら、“Export”ボタンを押して画像ファイルを生 成する。生成が完了されるとリンクが表示されるので、リンク先からダウンロ ードする。 『地理言語学研究』 | Studies in Geolinguistics 5 102 図21:画像ファイルへの変換 5.2. 地図の公開と共有 作成し保存した地図は、Content から公開の設定を行うことができる。画面 の最も左上隅にある三本線のマークからメインメニューを開き、Content に異 動する。作成した地図やアップロードした CSV ファイルなどが列挙されてお り、それぞれの右側に人間のようなマークが示されている(図 22)。このマー クをクリックして、公開の設定をすると、少し時間をかけて処理が行われ、地 球をイメージしたマークに変わる。関連する CSV ファイルなども同様に処理 する。これで公開状態となる。有料版では、グループ内でのみ見られる “Organization”の選択肢もある。 白井「ArcGIS Onlineの新たなMap Viewerによる地図作成方法」 103 図22:地図の公開 図23:詳細画面からの公開処理 旧バージョンと異なり、現行バージョンでは、ここまでに行った地図本体の 共有手順でレイヤーを含む地図の内容を共有することができない場合がある。 通常は、地図本体の共有の際に、必要な情報を含むファイル(CSV など)も一 緒に共有処理がなされる。それらが共有されていなと共有先で地図を見ること ができないため、次の操作で確認しておくとよい。 地図本体を公開扱いにした後、ファイルタイトルをクリックして詳細情報を 表示すると、下の方に Layers という欄があり、この地図に含まれるレイヤー がリストされている(図 23)。このレイヤー一つ一つをクリックすると、やは り同様の詳細情報が表示される。そのレイヤーの詳細情報において、右側(ス クリーンサイズによっては上)の Share をクリックし、Everyone (public)(公 開)になっているか確認する。Owner(非公開)になっていれば、Everyone (public) 『地理言語学研究』 | Studies in Geolinguistics 5 104 を選択し、保存する。これを、共有したいレイヤーすべてに対して行う。なお、 この Share ボタンから公開する方法は、地図本体を公開する場合にも使える。 以上の手順で公開処理をした地図を、別のアカウントから表示したい場合は、 共有用の URL を取得する。地図本体の詳細画面の URL でもいいし、右下の方 にあるリンクボタン「 」から短縮 URL を取得することもできる。リ ンクボタンが表示されていない場合は、ID の下の v マークをクリックして折 りたたまれたメニューを開く。ここまでの共有方法は、無料のパブリックアカ ウントでも利用可能である。 5.3. レイヤーの公開と共有 ここからは、別々のアカウントで作成した地図からレイヤーを抽出し、複数 のレイヤーを一つの地図に重ねるために必要な手順の概略を説明しておく。 地 理言語学の共同研究において不可欠な操作だが、現行の パブリックアカウントで は当該の機能が提供されておらず 4 、有料版が必要となる 5 。ここまで述べてき たように、パブリックアカウントでも、複数のレイヤーを含む地図を作成し、 完成した地図を公開したり共有したりするところまでは可能である。ただ、作 成したレイヤーを操作する機能がない。 有料版で、各レイヤー右側の三点メニューを開くと、図 24 左側のように、 レイヤーの保存と複製に関するメニューが現れる。編集したレイヤーを上書き 保存または別名で保存できるほか、他の地図から取り込んだレイヤーを複製し て自分の Content に保存したりできる。無料のパブリックアカウントにはない 機能である(図 24 右側)。レイヤーに関する機能が有料版にのみ搭載されて いることが確認できる。 4 旧バージョンでは無料アカウントでも利用できた。 5 鈴木史己氏と遠藤光暁氏の情報(2025年10月p.c.)によると、無料版からも次の方法でレイヤーを取り出 し、ArcGIS Proを持っている人に送れば、重ね合わせてもらうことは可能である:共有したい地図の公開処 理を行ったうえで、「コンテンツ」から右端の「...」を選択し、「ArcGIS Proで開く」を選択する。「pitemx」 という拡張子のファイルがダウンロードされるので、Pro版を持っている人にこのファイルを送って重ね合 わせてもらう。 白井「ArcGIS Onlineの新たなMap Viewerによる地図作成方法」 105 図24:有料版(左)とパブリックアカウント(右)のレイヤーメニュー レイヤーを単独で他の人と共有するには、“hosted feature layer”という種類の レイヤーを作成する必要がある。これを作成するには、アップロード時に設定 しておく。3.3 節で触れたように、有料版では、ファイルアップロード時にま ず図 25 のように、hosted layer とするか、通常の item とするかの選択肢が現れ る。ここで、“Create a hosted layer and add it to the map”を選んでおけば、共有可 能なレイヤーが生成される。作成した地図を保存して Content を開くと、 “Feature layer (hosted)”というアイテムが保存されている。 このタイプのレイヤーは、前述した地図の共有と同じ方法で共有することが できる。共有された hosted feature layer をContent に保存しておくと、Map Viewer 上でそれらのレイヤーを重ねることができる。図 7で示した Map Viewer 画面 のAdd layer から“Browse layers”を選択すると、hosted feature layer のリストが 表示されるので、そこから選択してマップに加えることができる。 『地理言語学研究』 | Studies in Geolinguistics 5 106 図25:有料版におけるアップロード方式の選択 パブリックアカウントで作成・共有された地図からレイヤーを保存・編集す ることは、Personal Use アカウントでもできなかった。レイヤーのエクスポー ト機能が必要なようである。Personal Use でできることとしては、地図の複製・ 保存、そこに使われている元データの取得、および、前述の手順で自分の Content にある hosted feature layer を複製・保存した地図に重ねること、である。 そのような地図の複製、保存、元データ取得について念のため説明しておく。 前節の手順で共有してもらったら、その地図を「別名で保存」する(図 18)。 念のため、地図タイトルに“-copy”と加えるなど、少し変えておくとよい。これ で、その地図と同じものが複製され、自身の Content に加わる。複製・保存し た地図を Content からひらくと、図 23 と同様、詳細画面に関係するレイヤー が表示される。元地図が現行バージョンで作られたものであれば、レイヤーの 詳細画面を開くと、Open ボタンの代わりに Download ボタンがあるので、手 元にダウンロードすることで、第 2節で作成したのと同様の CSV ファイルが 取得できる 6 。 6 元の地図が旧バージョン(Map Viewer Classic)で作られたものの場合、CSVファイルをそのままダウンロー ドすることはできない。Map Viewerで開き、レイヤーの「…」メニューを開くと、図23右側のメニューが開 く。Show tableで元データを見ることができる。テキストコピーをして表計算ソフトに貼り付けることで元 データを再現できる。 白井「ArcGIS Onlineの新たなMap Viewerによる地図作成方法」 107 6. おわりに 本稿は、ArcGIS Online の新たなバージョンを用いて地理言語学的研究を行 うための実用的説明を行った。基本的なデータの準備は旧バージョンと同様で あるが、初めてこのシステムを用いて地理言語学的地図を作成する読者を想定 し、省略せずに説明した。システムのインターフェースは旧バージョンから大 きく変わっているため、ファイルのアップデートから始まって地図の作成、共 有に至るまで画像を使用してなるべく丁寧に説明した。本稿を準備する最後の 段階になって、レイヤー機能の制限および有料版の機能が分かってきた。レイ ヤー機能については旧バージョンと同様に無料版で使えないか、時間を掛けて 試行錯誤したが、最終的に有料版でなければできないことが判明した。デスク トップ版の利用については今後の課題としたい。 システムのバージョンアップによって、旧バージョンにあった利便性が減少 することや、旧バージョンで作成した地図の利用に困難が生じることなどは残 念なことである。研究成果は持続的に広く公開することが求められる。どのよ うなツールを用いてよりよい研究を行い、共同研究を進め、またそれを公開し ていくか、外部システムに頼っている限りは難しい課題である。 参考文献/References Endo, Mitsuaki, Makoto Minegishi, Satoko Shirai, Hiroyuki Suzuki, and Keita Kurabe (eds.) (2021) Linguistic atlas of Asia. Tokyo: Hituzi Syobo. Esri. ArcGIS Online Resources. https://www.esri.com/en-us/arcgis/products/arcgis-online/resources (2025年8月27日アクセス) Fukushima, Chitsuko, Satoko Shirai, Mika Fukazawa, Hiroyuki Suzuki, and Mitsuaki Endo (eds.) (2023) Linguistic atlas of Asia and Africa III. Tokyo: Geolinguistic Society of Japan. https://doi.org/10.5281/zenodo.10223730, Shirai, Satoko and Yang Huang (2024) A geolinguistic approach to nDrapa dialectology. In: Masaki Nohara and Takumi Ikeda (eds.) Grammatical Phenomena of Sino-Tibetan Languages 6: Typology and Historical Change, 109-124. Kyoto: Institute for Research in Humanities, Kyoto University. http://hdl.handle.net/2433/289969. Suzuki, Hiroyuki, Mika Fukazawa, Akiko Yokoyama, and Mitsuaki Endo. (2022) Linguistic atlas of Asia and Africa I. Tokyo: Geolinguistic Society of Japan. https://doi.org/10.5281/zenodo.7118188 Suzuki, Hiroyuki, Kohei Nakazawa, and Mitsuaki Endo. (2023) Linguistic atlas of Asia and Africa II. Tokyo: Geolinguistic Society of Japan. https://doi.org/10.5281/zenodo.7754469 遠藤光暁 (2015)「Arc GIS onlineによる言語地図作成法」ms. 遠藤光暁 (2025)「言語地図を描くプロセス:クラ・ダイ語族の「月month」を例として」This volume. 加藤正信 (1962)「ある方言地図の解釈:佐渡における「ねこやなぎ」の言語地理学的考察」『言 語研究』42: 31-46. https://doi.org/10.11435/gengo1939.1962.42_31 柴田武 (1969)『言語地理学の方法』東京:筑摩書房.