Analytic semigroup of infinite dimensional interacting Brownian motion (Japanese)
Abstract
We define the generator of a holomorphic semigroup for a countably infinite interacting Brown particle system on a countable direct product space as a maximal monotone self-adjoint operator.
Full text
See discussions, stats, and author profiles for this publication at: https://www.researchgate.net/publication/361748768 無限次元干渉Brown運動に関する解析的半群 Preprint · July 2022 DOI: 10.13140/RG.2.2.12505.60007 CITATIONS 0 1 author: Hiroki Yagisita Kyoto Sangyo University 23 PUBLICATIONS26 CITATIONS SEE PROFILE All content following this page was uploaded by Hiroki Yagisita on 04 July 2022. The user has requested enhancement of the downloaded file.
R∞上の無限次元干渉 Brown 運動に関する 解析的半群 Hiroki Yagisita (Kyoto Sangyo University) 加算直積空間 R∞:= Qn∈NR上の加算無限干渉 Brown 粒子系に関する正則 半群の生成作用素を極大単調自己共役作用素 ∞ X k=1 −∂ ∂xk +Hk ∂ ∂xk +Hk として定義する。一見、これは、かなり難しい問題のように見えるが、R∞ 上の ∂ ∂xk を単なる(一般化された)偏微分として定義することができるため、 実は、あまり難しくはない。もっとも重要なのは、その定義域が R∞の可測 な「部分集合」であるような可測関数の列 {Hk}∞ k=1 に対して、H-偏微分 ∂H,k := ∂ ∂xk +Hk を閉作用素として定義することである。前原稿と同様に、解析学の基礎知識 (及び、前原稿の一部)だけが必要である。 Analytic semigroup of infinite dimensional interacting Brownian motion on R∞ We define the generator of a holomorphic semigroup for a countably infinite interacting Brown particle system on a countable direct product space R∞:= Qn∈NRas a maximal monotone self-adjoint operator P∞ k=1((−∂ ∂xk+ Hk)( ∂ ∂xk+Hk)). At first glance, this may seem like a pretty difficult problem, but it is not too difficult because ∂ ∂xkon R∞can be defined as just a (generalized) partial derivative. The most important thing is to define a H-partial derivative ∂H,k := ∂ ∂xk+Hkas a closed operator for a sequence {Hk}∞ k=1 of measurable functions whose domain are measurable “subsets” of R∞. As with the previous manuscript, only basic knowledge of analysis (and part of the previous manuscript) is required. 長田博文「無限粒子系の確率幾何と力学」数学 69 (3), 225-254, 2017-07-25 長田博文「無限粒子系の確率解析学」数学 71 (2), 113-137, 2019-04-24 https://www.jstage.jst.go.jp/browse/sugaku/-char/ja 1
1動機付け Rnを(標準的な Riemann 計量による)Riemann 多様体とする。何故、こ のような言い方をするかと言うと、本節の形式的な議論は、Riemann 多様体 に一般化できると思われるからである。H∈C2(Rn)とする。このとき、Rn 上の確率微分方程式 dXt=√2dBt−2gradHdt に関する生成作用素は、形式的には −4Rn+ 2gradH となり、dx をRnの(標準的な Riemann 計量による)標準的な体積要素とし てL2(e−2Hdx)で対称である。一方、e−2Hdx はdx と互いに絶対連続であるか ら、密度の平方根によって、L2(e−2Hdx)はL2(Rn)に(Hilbert 空間として) 標準的に同型である。この同型によって、当該の作用素は L2(Rn)の対称作 用素に移る訳であるが、具体的に計算してみると、(形式的な)Schrodinger 作用素 −4Rn+kgradHk2−4RnH である。形式的に (−4Rn+ 2gradH)(1) = 0 であることを反映して、形式的 に(−4Rn+kgradHk2−4RnH)(e−H)=0である。例えば、H(x) = 1 2kxk2 のとき、kgradHk2− 4RnH=kxk2−nとなるので、これは調和振動子の Hamiltonian であり、e−1 2∥x∥2はその基底状態である。ここまでの話を纏める と、(自己干渉も含めた)干渉ポテンシャル Hに関する適当な仮定の下で、 −4Rn+kgradHk2−4RnH は干渉 Brownn-粒子系に関する L2(Rn)上の解析的半群の生成作用素である ということになる。 さて、Rnは有限次元であるが、無限次元の場合を考えたい。あまり、一 般的に考えても埒が明かないので、何か適当な設定を考えたい。まず、Rnは Riemann 多様体の族 {R}k∈{1,2,··· ,n}の直積 Riemann 多様体であることに注目 すると(と言っても、先取りして、上で n-粒子系と既に言ってしまったのだ が)、上記の(形式的な)Schrodinger 作用素は X k∈{1,2,··· ,n} −∂2 ∂xk2+ ∂H ∂xk 2 −∂2H ∂xk2! 2
と表示することも自然である。当然、ここで {1,2,··· , n}をNに置き換えた くなる訳だが、それは少し待って、さらに、形式的な非負性が見易い形 X k∈{1,2,··· ,n}−∂ ∂xk +∂H ∂xk ∂ ∂xk +∂H ∂xk にまで、形式的に変形できる。さらに、これに対応して、形式的に X k∈{1,2,··· ,n} ∂ ∂xk +∂H ∂xku, ∂ ∂xk +∂H ∂xkvL2(Rn) と表記される非負対称双線形形式(あるいは、エネルギー汎関数)こそが Hamiltonian の実体であると考えよう。ここで、{1,2,··· , n}をNに置き換 えると、L2(R∞)上の(形式的な)非負対称双線形形式 X k∈N ∂ ∂xk +∂H ∂xku, ∂ ∂xk +∂H ∂xkvL2(R∞) が得られる。ここで、そもそも、{1,2,··· , n}をNに置き換えたときの Hに 関連した部分の意味付けが大きな問題になることが非常に多いが、本原稿で は、これが、形式的に次のように定義されている場合を想定する。Nの各有 限部分集合 Aに対し、UA∈C1(RA)が与えられているとする。H:= PAUA である、と想定する。従って、Hk:= ∂H ∂xk として、 Hk:= X k∈A ∂UA ∂xk に対して、L2(R∞)上の非負対称双線形形式 X k∈N ∂ ∂xk +Hku, ∂ ∂xk +HkvL2(R∞) が形式的に定まった。仮に ∂ ∂xk+Hkが閉作用素として定義できれば、前原稿 とほぼ同様に議論が進行することになる。ところで、Hkの定義式の右辺は 一般に収束しない。従って、Hkの定義域は、R∞の可測な「部分集合」であ る。そこで、R∞の可測な「部分集合」をその定義域とする実数値可測関数 Hkに対して、 ∂ ∂xk +Hk を閉作用素として定義することが、次節以降の主題となる。 3
2R∞上の偏微分 ∂ ∂xk 本原稿では、「H1(R)をその定義域とする一般化された微分」の性質を直接 的に利用できるように、R∞上の偏微分 ∂ ∂xk を単なる(一般化された)偏微分と して導入する。前原稿から引き継ぐのは、前原稿の「第1節」と「命題27」 である。すなわち、任意の可測空間Xに対して、X上の実測度(符号つき測度) の全体の集合 RM(X)が自然に実 Hilbert 空間となっている。 Rを可測集合族を位相的 σ加法族(位相空間 RのBorel 集合族)とする 可測空間とし、R∞でRの加算直積可測空間 Qn∈NRを表す。従って、前原 稿の第1節と命題27より、RM(R∞)は実 Hilbert 空間である。 補題1(偏微分の一意性):k∈Nとする。µ1, µ2をR∞上の σ有限 な測度とし、f1, g1∈L2(dxkdµ1(x1, x2,··· , xk−1, xk+1, xk+2,···)), f2, g2∈ L2(dxkdµ2(x1, x2,··· , xk−1, xk+1, xk+2,···)) とし、 f1|f1|dxkdµ1(x1, x2,··· , xk−1, xk+1, xk+2,···) =f2|f2|dxkdµ2(x1, x2,··· , xk−1, xk+1, xk+2,···) であるとする。任意の (a1, a2,··· , ak−1, ak+1, ak+2,···)∈R∞に対して、関数 xk7→ f1(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···), xk7→ f2(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···), xk7→ g1(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···), xk7→ g2(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···) がL2(R)に属し、かつ、 φ∈C∞ 0(R) =⇒ Z+∞ −∞ g1(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···)φ(xk)dxk =−Z+∞ −∞ f1(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···)φ′(xk)dxk, Z+∞ −∞ g2(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···)φ(xk)dxk =−Z+∞ −∞ f2(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···)φ′(xk)dxk であるとする。このとき、 4
g1|g1|dxkdµ1(x1, x2,··· , xk−1, xk+1, xk+2,···) =g2|g2|dxkdµ2(x1, x2,··· , xk−1, xk+1, xk+2,···) である。 証明: 表記の簡単のため、k= 1 とする。σ有限な測度 µを µ(E) := µ1(E) + µ2(E) で定める。ある非負値可測関数 ρ1, ρ2が存在して、 µ1=ρ1dµ, µ2=ρ2dµ である。dx1dµ(x2,···)に関して、ほとんど至るところ f1√ρ1=f2√ρ2 である。dµ(x2,···)に関して、ほとんど至るところ、dx1に関して、ほとん ど至るところ f1√ρ1=f2√ρ2 である。よって、dµ(x2,···)に関して、ほとんど至るところ、dx1に関して、 ほとんど至るところ g1√ρ1=g2√ρ2 である。dx1dµ(x2,···)に関して、ほとんど至るところ g1√ρ1=g2√ρ2 であり、 g1|g1|dx1dµ1(x2,···) =g1√ρ1|g1√ρ1|dx1dµ(x2,···) =g2√ρ2|g2√ρ2|dx1dµ(x2,···) =g2|g2|dx1dµ2(x2,···) である。 ■ 定義2(定義域 H1 k(R∞)):k∈Nとする。H1 k(R∞)で、次の条件を満た すΦ∈RM(R∞)の全体の集合を表す。R∞上の σ有限なある測度 µ、f, g ∈ L2(dxkdµ(x1, x2,··· , xk−1, xk+1, xk+2,···)) が存在して、次を満たす。 5
(1) Φ = f|f|dxkdµ(x1, x2,··· , xk−1, xk+1, xk+2,···)であり、 (2) 任意の (a1, a2,··· , ak−1, ak+1, ak+2,···)∈R∞に対して、関数 xk7→ f(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···), xk7→ g(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···) がL2(R)に属し、かつ、 φ∈C∞ 0(R) =⇒ Z+∞ −∞ g(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···)φ(xk)dxk =−Z+∞ −∞ f(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···)φ′(xk)dxk である。 ■ 補題1と定義2より、次のように定義する。 定義3(偏微分 ∂ ∂xk ):k∈Nとする。Φ∈H1 k(R∞)とする。このとき、 ある Ψ∈RM(R∞)が一意に存在して、R∞上の σ有限なある測度 µ、f, g ∈ L2(dxkdµ(x1, x2,··· , xk−1, xk+1, xk+2,···)) が存在して、 (0) Ψ = g|g|dxkdµ(x1, x2,··· , xk−1, xk+1, xk+2,···)であり、 (1) Φ = f|f|dxkdµ(x1, x2,··· , xk−1, xk+1, xk+2,···)であり、 (2) 任意の (a1, a2,··· , ak−1, ak+1, ak+2,···)∈R∞に対して、関数 xk7→ f(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···), xk7→ g(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···) がL2(R)に属し、かつ、 φ∈C∞ 0(R) =⇒ Z+∞ −∞ g(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···)φ(xk)dxk =−Z+∞ −∞ f(a1, a2,··· , ak−1, xk, ak+1, ak+2,···)φ′(xk)dxk である。 ∂Φ ∂xk∈RM(R∞)を ∂Φ ∂xk := Ψ と定義する。 ■ 6
命題4(部分積分公式):k∈Nとする。このとき、 ∂ ∂xk は、その定義域 をH1 k(R∞)とする RM(R∞)から RM(R∞)への線形作用素である。任意の Φ1,Φ2∈H1 k(R∞)に対して、 ∂Φ1 ∂xk ,Φ2RM(R∞) +Φ1,∂Φ2 ∂xkRM(R∞) = 0 である。 証明: 表記の簡単のため、k= 1 とする。 前原稿の命題4の証明と同様のことに注意をして、定義域を H1 1(R∞)と する RM(R∞)から RM(R∞)への線形作用素であることは容易である。 R∞上の σ有限なある測度 µ1, µ2、f1, g1∈L2(dx1dµ1(x2,···)), f2, g2∈ L2(dx1dµ2(x2,···)),が存在して、 (1) Φ1=f1|f1|dx1dµ1(x2,···),Φ2=f2|f2|dx1dµ2(x2,···)であり、 (2) 任意の (a2,···)∈R∞に対して、関数 x17→ f1(x1, a2,···), x17→ g1(x1, a2,···), x17→ f2(x1, a2,···), x17→ g2(x2, a2,···) がL2(R)に属し、かつ、 φ∈C∞ 0(R) =⇒ Z+∞ −∞ g1(x1, a2,···)φ(x1)dx1=−Z+∞ −∞ f1(x1, a2,···)φ′(x1)dx1, Z+∞ −∞ g2(x1, a2,···)φ(x1)dx1=−Z+∞ −∞ f2(x1, a2,···)φ′(x1)dx1 である。σ有限な測度 µを µ(E) := µ1(E) + µ2(E) で定める。ある非負値可測関数 ρ1, ρ2が存在して、 µ1=ρ1dµ, µ2=ρ2dµ である。このとき、 7
Φ1=f1√ρ1|f1√ρ1|dx1dµ(x2,···), Φ2=f2√ρ2|f2√ρ2|dx1dµ(x2,···), ∂Φ1 ∂x1 =g1√ρ1|g1√ρ1|dx1dµ(x2,···), ∂Φ2 ∂x1 =g2√ρ2|g2√ρ2|dx1dµ(x2,···) であるので、前原稿の命題6の証明と同様のことに注意し、「L2(R)における (通常の)一般化された微分」の性質(部分積分公式)より、 ∂Φ1 ∂xk ,Φ2RM(R∞) =ZR∞Z+∞ −∞ g1f2dx1√ρ1ρ2dµ(x2,···) =−ZR∞Z+∞ −∞ f1g2dx1√ρ1ρ2dµ(x2,···) =−Φ1,∂Φ2 ∂xkRM(R∞) である。 ■ 8
(2) T1, T2∈H1 H(R∞)に対して、 hT1, T2iH1 H(R∞) := hT1, T2iRM(R∞)+X k∈N ∂ ∂xk +HkT1,∂ ∂xk +HkT2RM(R∞) と定める。 ■ 定理20:H1 H(R∞)はHilbert 空間である。 略証: {Tn}nをH1 H(R∞)のCauchy 列とする。このとき、ある S∈ H1 H(R∞)が存在して、limnTn=Sであることを示す。 ある S∈RM(R∞)が一意に存在して、limnkTn−SkRM(R∞)= 0 であ る。RM(R∞)のある列 {Rk}k∈Nが一意に存在して、任意の k∈Nに対して、 limn (∂ ∂xk+Hk)Tn−Rk RM(R∞)= 0である。命題18より、任意のk∈Nに 対して、S∈D(∂ ∂xk+Hk),(∂ ∂xk+Hk)S=Rkである。これより、さらに、任意 のk∈Nに対して、limn (∂ ∂xk+Hk)Tn−(∂ ∂xk+Hk)S RM(R∞)= 0 である。 以上より、前原稿の定理17の証明と同様にして、S∈H1 H(R∞),limnTn=S である。 ■ 定義21(H0 H(R∞)):H1 H(R∞)のRM(R∞)における閉包を H0 H(R∞)で 表す。T1, T2∈H0 H(R∞)に対して、hT1, T2iH0 H(R∞):= hT1, T2iRM(R∞)と定め る。 ■ 命題22:H0 H(R∞)はRM(R∞)の閉線形部分空間である。H0 H(R∞)は Hilbert 空間である。H1 H(R∞)はH0 H(R∞)の稠密な線形部分空間である。任 意の T∈H1 H(R∞)に対して、kTkH0 H(R∞)≤ kTkH1 H(R∞)である。 定理23(楕円型方程式):任意の f∈H0 H(R∞)に対して、ある u∈ H1 H(R∞)が一意に存在して、次を満たす。任意の φ∈H1 H(R∞)に対して、 hu, φiH1 H(R∞)=hf, φiH0 H(R∞) である。 定義24:f∈H0 H(R∞)とする。このとき、(1 − 4H)−1fで、任意の φ∈H1 H(R∞)に対して hu, φiH1 H(R∞)=hf, φiH0 H(R∞)である u∈H1 H(R∞)を 表す。 ■ 補題25:(1 − 4H)−1はH0 H(R∞)から H1 H(R∞)への線形写像で、単射 である。任意の f∈H0 H(R∞)に対して、k(1 −4H)−1fkH1 H(R∞)≤ kfkH0 H(R∞) である。 ■ 15
定義26:uは(1 − 4H)−1の値域に属するとする。このとき、4Hu∈ H0 H(R∞)を 4Hu:= u−((1 −4H)−1)−1u で定める。 ■ 定理27:−4Hは、H0 H(R∞)の極大単調自己共役作用素である。 略証: 前原稿の定理24の証明と同様に、ブレジス『関数解析』の命 題7.1と命題7.6を用いる。 ■ 以上で、実 Hilbert 空間 H0 H(R∞)の極大単調自己共役作用素として ∞ X k=1 −∂ ∂xk +Hk ∂ ∂xk +Hk:= −4H が定まった。H0 H(R∞)は、R∞上の密度の平方根の空間RM(R∞)の部分Hilbert 空間である。ところが、一般的には H0 H(R∞) = {0}となり得る。一方、定義 により、H1 H(R∞)は、H0 H(R∞)の稠密な線形部分空間である。そこで、{UA}A に適当に簡単な仮定を置いて、その場合の H1 H(R∞)について、少し調べる。 命題28(調和振動子):ある {Ωn}∞ n=0 が一意に存在して、任意の n= 0,1,2,··· に対して、Ωn∈C2(R),limx→±∞(Ωn(x)x−ne+x2 2) = (n!)−1 2π−1 4, −d2 dx2+x2−1Ωn= 2nΩn である。このとき、{Ωn}∞ n=0 は、L2(R)の正規直交基底である。Ωn+1(x)e+x2 2 は(n+ 1) 次多項式である。Ω0(x)e+x2 2=π−1 4である。d dx +xΩn+1 = p2(n+ 1)Ωnである。d dx +xΩ0= 0 である。 証明: Hermite 多項式などの性質を用いて、よく知られている。 ■ 例題29(加算無限調和振動子系):U{k}(xk) = 1 2xk2であるとする。A6∈ {{1},{2},··· ,{n},···}ならば、UA({xl}l∈A)=0であるとする。このとき、 H1 H(R∞)の加算(無限)な直交系が存在する。 証明: HkはR∞上の可測関数であり、Hk(x1, x2,··· , xn,···) = xkで ある。命題28より、n= 0,1,2,··· に対して Tn:= (Ωn(x1)|Ωn(x1)|dx1) ∞ Y k=2 (|Ω0(xk)|2dxk)! とおくと、任意の i, j = 0,1,2,··· に対して hTi, TjiH1 H(R∞)= (1 + 2pij)δi,j である。 ■ 16
例題30(超短距離型ポテンシャル):R∈(0,+∞)とする。「任意の l, m, n ∈Aに対して、|xl|> R, [m6=n⇒ |xm−xn|> R]」であるならば、 UA({xl}l∈A)=0であるとする。このとき、H1 H(R∞)の非加算な直交系が存 在する。 証明: ある η∈C∞ 0(R)が存在して、RR|η|2= 1、η≥0、かつ、 η(t)>0 =⇒t∈(0,1) である。τ∈ {0,1}Nに対して、R∞上の確率測度 Tτを Tτ:= Y n∈N 1 nη xn−Pn−1 m=0(2m2+ 2R) n2−τ(n)! 2 dxn で定める。 「任意の l, m, n ∈Nに対して、|xl|> R, [m6=n⇒ |xm−xn|> R]」で あるならば、(x1, x2,···)はHkの定義域に属し、Hk(x1, x2,···) = 0 である。 一方、確率測度 Tτに関して、ほとんど確実に、「任意の l, m, n ∈Nに対し て、|xl|> R, [m6=n⇒ |xm−xn|> R]」である。Tτ∈D(Hk)で、HkTτ= 0 である。Tτ∈H1 k(R∞)で、 ∂Tτ ∂xk = 1 k2 1 kη′ xk−Pk−1 m=0(2m2+ 2R) k2−τ(k)!! 1 k2 1 kη′ xk−Pk−1 m=0(2m2+ 2R) k2−τ(k)! dxk! Y n∈N\{k} 1 nη xn−Pn−1 m=0(2m2+ 2R) n2−τ(n)! 2 dxn である。全変動 |∂Tτ ∂xk|に関して、ほとんど至るところ、「任意の l, m, n ∈Nに 対して、|xl|> R, [m6=n⇒ |xm−xn|> R]」である。∂Tτ ∂xk∈H1 k(R∞)∩D(Hk) である。よって、HkTτ= 0 より、 ∂ ∂xk +HkTτ= (∂+H)kTτ=∂Tτ ∂xk 17
である。以上より、任意の τ1, τ2∈ {0,1}Nに対して、 ∂ ∂xk +HkTτ1,∂ ∂xk +HkTτ2RM(R∞) =1 k4ZR|η′|2δτ1,τ2 であり、 hTτ1, Tτ2iH1 H(R∞)=1 + π4 90 ZR|η′|2δτ1,τ2 である。 ■ 注意31:一般に e−2Hdx は(形式的な)基底状態と言える。標準 Brown 運動の場合、Hは定数で、(形式的な)基底状態 e−2Hdx はσ有限な測度とし ては存在しない。一方、配置空間上の解析的半群の構成に関しては、無限次 元Dirichlet 形式などを用いた広範な理論的蓄積が既にあるようである。 ■ 問題32:特異摂動問題 Pk((−ε∂ ∂xk+Hk)(ε∂ ∂xk+Hk)) を考えよ。Rnや R∞は直積計量空間であるが、前原稿、及び、本原稿の議論を(有限、もし くは、無限の)局所直積計量空間に一般化せよ。局所直積計量空間の例とし ては、例えば、RnやR∞をその離散部分群で割った商空間があるであろう。 これに関連して、逆に、局所直積空間の普遍被覆空間の全空間は直積空間で あるか? ■ K. Kodaira, D. C. Spencer, Multifoliate Structures, Annals of Mathematics https://www.jstor.org/stable/1970306 重川一郎、谷口説男「無限次元空間上のディリクレ形式とその周辺」45 (2) https://www.jstage.jst.go.jp/browse/sugaku/-char/ja 無限次元空間上の Laplace 作用素の変分法的定式化と自己共役性 https://www.researchgate.net/publication/361136526 無限自由度の正準交換関係(CCR)の Schrodinger 表現 https://www.researchgate.net/publication/361358209 何故、「密度の平方根」が必要なのか? https://www.researchgate.net/publication/361388858 「密度の平方根」の良く知られた(無自覚な?)使用の例 https://www.researchgate.net/publication/361508063 18 View publication statsView publication stats