Space with path as basic concept and covariant functor that correspond analogue of singular simplicial set to it (Japanese)
Abstract
We define space with path as basic concept and covariant functor that correspond analogue of singular simplicial set to it.
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See discussions, stats, and author profiles for this publication at: https://www.researchgate.net/publication/368509944 道を基本概念とする空間、及び、それに特異単体的集合の類似物を対応させる共変関 手 Technical Report · February 2023 DOI: 10.13140/RG.2.2.12728.62729 CITATIONS 0 READS 2 1 author: Hiroki Yagisita Kyoto Sangyo University 29 PUBLICATIONS26 CITATIONS SEE PROFILE All content following this page was uploaded by Hiroki Yagisita on 15 February 2023. The user has requested enhancement of the downloaded file.
道を基本概念とする空間、及び、それに特異 単体的集合の類似物を対応させる共変関手 Space with path as basic concept and covariant functor that correspond analogue of singular simplicial set to it Hiroki Yagisita (Kyoto Sangyo University) 位相空間は、近傍を基本概念とする空間であると思われる。一方、ホモ トピーは近傍よりも、むしろ、道を基本とした概念のようにも感じられる。 例えば、「連結」の定義や「ファイバー・バンドル」の定義は近傍を基本とし ている一方で、「弧状連結」の定義や「ファイバー空間」の定義は道を基本 としているようにも感じられる。あるいは、位相空間の簡単な2つの具体例 {0,1,2,4,8,· · · ,2n,· · · },{0,1 1,1 2,1 4,1 8· · · ,1 2n,· · · } はホモトピー同値ですらないが、各弧状連結成分が1点からなり、かつ、成 分全体の集合の濃度が等しいので、ホモトピー的な観点からはほとんど同じ ように感じられるようにも思わる。ところで、例えば、Abbati, Mania の導 入部などに見られる次の Boman の定理(の系) 定理(Boman): fをRnから Rmへの写像とする。このとき、fがC∞で あるためには、「cがRn上の C∞曲線であるならば、f◦cはRm上の C∞曲 線であること」が必要十分である。 ■ に代表されるような事実に触発されて、(超関数論における C∞関数の一般 化と同様の精神で?)C∞多様体(の圏)の一般化が考察されているようで ある。一方、次の事実 命題: fをRnから Rmへの写像とする。このとき、fが連続であるために は、「cがRn上の連続曲線であるならば、f◦cはRm上の連続曲線であるこ と」が必要十分である。 ■ はむしろ、容易に確認できる(本文で与えられる補題53の証明2と同様に して示すことができる)。であるならば、道の概念を基本として、位相多様 体(の圏)の一般化を考えることは自然であろうと思われる。Shimakawa, Yoshida, Haraguchi は(その命題3.1により)「位相空間の枠内」で特異単 体の概念(標準単体からの連続写像)を基本とする一般化を行っていると見 ることができるが、さらに、(我々の補足46(2)により)「位相空間の枠 内」での道の概念([0,1] からの連続写像)を基本とする一般化であると見る ことができるであろう。 1
本原稿では、位相空間の枠を取り外し、道を基本概念とする空間を次の ように定義し、擬位相空間と呼称する。 定義1(擬位相、道): (1)Xを集合とする。このとき、Pが(X上の {[0,1]}-)擬位相であるとは、Pが[0,1] から Xへの写像全体の集合の部分集 合であり、任意の x∈Xに対して、x∈Pであることを言うとする。(但し、 xを値とする定値写像を xで表記するという記号の濫用を行っている。) (2) ({[0,1]}-)擬位相が定められた集合を({[0,1]}-)擬位相空間と言う こととする。擬位相空間 Xに対して、Xの擬位相の要素を(X上の)道と 言うこととする。 ■ 擬位相空間から擬位相空間への写像について、擬連続(であるか、ないか、 という概念)を次のように定義する。 定義2(擬連続): X, Y を擬位相空間とし、fをXから Yへの写像とする。 このとき、fが擬連続であるとは、「cがX上の道であるならば、f◦cはY 上の道であること」を言うこととする。 ■ 擬位相空間を対象とし、擬連続写像を射とし、写像の合成を射の合成とする ことで、一つの圏が容易に得られる。 命題3: 擬位相空間を対象とし、擬連続写像を射とし、写像の合成を射の合 成とすると圏である。 証明: 容易である。 ■ これを擬位相空間の圏と呼称し、Path と表記する。 定義4(Path): ({[0,1]}-)擬位相空間を対象とし、擬連続写像を射とし、 写像の合成を射の合成とした圏を({[0,1]}-)擬位相空間の圏と言うこととす る。Path で({[0,1]}-)擬位相空間の圏を表すこととする。 ■ 以後の本文においては、擬位相空間の圏 Path を主な考察対象とする。例 えば、第1節において、極限、余極限、冪(当該の圏における圏論的普遍性 を有する Hom(X;Y))の存在が容易に示される。さらに、擬連続写像 pX: X→Z, pY:Y→Zに対して、圏論的普遍性を有する Hom(pX;pY)(擬連 続写像 f:X→Yで、pY◦f=pXであるものの全体)が存在することも冪の 場合と同様に示される。また、(位相に対して、「[0,1] からの連続写像全体の 集合」を対応させることにより)位相空間の圏から擬位相空間の圏への共変 関手 −→ TP、(擬位相に対して、「[0,1] からの連続写像全体の集合」が当該の擬 位相を含む最大の位相を対応させることにより)擬位相空間の圏から位相空 間の圏への共変関手 −→ PT が容易に定められるが、それについて、ごく簡単に 考察する。特に、我々は −→ TP(T) = Pであることを「擬位相 Pは位相 Tを許 容する」と言い、何らかの位相を許容することを「位相付け可能である」と 2
言うことにするが、「(−→ TP ◦−→ PT)(P)はPを含む位相付け可能な最小の擬位相 であること」、及び、「−→ P T (P)は(−→ TP ◦−→ P T )(P)が許容する最大の位相である こと」が示される。ということは、擬位相 Pは、常にその自然な位相的標 準化 (−→ TP ◦−→ P T )(P)を伴うと考えられるようにも思われる。但し、当然なが ら、Pと(−→ TP ◦−→ P T )(P)の幾何学的特徴は、一般には大きく異なる。また、 「−→ P T (P)は∆-生成であること」、及び、「(−→ PT ◦−→ T P )(T)はTを含む最小の ∆- 生成位相であること」も示される。 特異ホモロジー群の定義の過程においては、位相空間にその特異複体を対 応させる(位相空間の圏から単体的集合の圏への)共変関手 −→ TS が定められ て、その結果として、必然的に特異ホモロジー論が構成されるのであった。一 方、我々は、Rn+1 の部分集合としての標準単体に対し、擬位相を [0,1] からの 連続写像 cで、任意の n∈Nとs∈[0,1] に対して、c((1 −s)1 2n+s1 2n−1) = (1 −s)c(1 2n) + sc(1 2n−1)であるもの全体の集合として定めた擬位相空間を標準 擬単体と呼称する。第2節では、標準擬単体を基に特異ホモロジーの場合と ほぼ同様のことを考える。擬位相空間の圏から単体的集合の圏への共変関手 −→ PS が容易に定められて、その結果として、必然的に特異ホモロジーの類似 物が定義される。また、連続写像のホモトピー類に類似した「擬連続写像の 同値類」を射とする圏が得られるが、さらに、「特異ホモロジー群のホモト ピー不変性」に対応する結果が、「プリズム分解」によるホモトピー不変性の 証明とほぼ同様の方法で示される。私は位相幾何学の基礎知識を持っていな いのであるが、以上のことは、擬位相空間に対する(自然な?)ホモトピー 論の存在を示唆しているのではないか、と思われる。「幾何学的実現の類似 物は?」という疑問が当然、発生すると思われるが、(そもそも、私は幾何学 的実現の構成を全く理解していないので、)よく分からない。一方、Kihara において、ある種の「一般化された C∞多様体」の圏に関して、これらの問 題に対応することに関連したことが議論されているように見える(因みに、 この圏の対象である「微分空間」には、条件として C∞両立性というものが 課されているのであるが、それに対応して C0両立性を考えると、C∞両立 性よりも強い条件となるが、C∞両立的でない構造に対しても、「C∞両立的 な最小の拡大」、「C0両立的な最小の拡大」などが存在すると思われる)。 さらに、我々は、XからYへの写像の組(f0, f1)が位相 TX, TYに関してホモ トピックであるならば、擬位相 −→ TP(TX),−→ TP(TY)に関して擬ホモトピックで あること、及び、 −→ TS =−→ PS ◦−→ TP =−→ TS ◦−→ PT ◦−→ TP =−→ PS ◦−→ TP ◦−→ PT ◦−→ TP =· · · , −→ PS 6=−→ TS ◦−→ PT 3
であることも示す。このことは、特異ホモロジーに関しては、「位相空間は擬 位相空間の上部構造である」と考えることが自然である、ということを示唆 するように思われる。(一方で、−→ TP は−→ PT の右随伴であることも確認できる ため、)これは、また、位相空間と擬位相空間は余極限については異なる振 る舞いをするという「感覚」とも整合的である。但し、擬位相がエキゾチッ クな位相を許容するとすれば、少なくとも、その一方は「第一加算ではない、 または、局所弧状連結ではない」ということも示される。例えば、冒頭の例 {0,1 1,1 2,1 4,1 8· · · ,1 2n,· · · }は局所弧状連結ではない。 実は、位相空間の特異ホモロジーに関連付けること(−→ TS =−→ PS ◦−→ TP の成 立)を要求しないのであれば、標準擬単体の定め方に大きな任意性があると 考えられる。そして、擬ホモトピーの定義は標準擬単体の定め方(すなわち、 共変関手 −→ PS の取り方)に依存していると考えるのが自然である。このこと は「幾何学的実現の一般化」の参考になる可能性が、もしかしたらあるの かもしれないような気も少ししている。「点([0,1] からの定値写像)でない 道は有限個である」(あるいは、これに似たようなものとして、任意の2点 x0, x1に対して、x0から x1への道は有限個である)ような擬位相空間の幾 何学というものもあり得るように思われるが、グラフ理論に既に含まれてい るのかもしれない。あるいは、{{0,1 2,1}}-擬位相空間、{{0,1,2,· · · , n}}n∈N擬位相空間の幾何学のようなものも同様かもしれない(本原稿で主に考察し ているのは、{[0,1]}-擬位相空間の圏である)。また、ob(Top)-擬位相空間、 (ob(Top) tob(Diff))-擬位相空間なども考えることができるのかもしれない。 実際のところ、私は、「コンパクト生成弱 Hausdorff 空間、一般化された多様 体、単体的集合、Descartes 閉圏、極限」などの概念があることをごく最近に なって知ったところであり、(本原稿においても)単体的集合や圏論などにつ いて、ごく初等的な知識のみを用いるだけである。 M. C. Abbati, A. Mania, On differential structure for projective limits of manifolds, Journal of Geometry and Physics K. Shimakawa, K. Yoshida, T. Haraguchi, Homology and cohomology via enriched bifunctors, Kyushu Journal of Mathematics H. Kihara, Model category of diffeological spaces, Journal of Homotopy and Related Structures G. Friedman, An elementary illustrated introduction to simplicial sets, Rocky Mountain Journal of Mathematics 小松醇郎、中岡稔、菅原正博『位相幾何学』第2章 河野明、玉木大『一般コホモロジー』付録A 玉木大『ファイバー束とホモトピー』付録 西田吾郎『ホモトピー論』第3章 4
1擬位相空間とその圏の簡単な基本事項 命題5(同型射): X, Y を擬位相空間とし、fをXから Yへの写像とする。 このとき、fが同型射であるためには、fが写像として全単射であり、[0,1] から Xへの任意の写像 cに対して、「cが道であることと f◦cが道であるこ とが同値である」ことが必要十分である。 証明: 容易である。 ■ 定義6(密着擬位相、離散擬位相): Xを集合とする。このとき、[0,1] から Xへの写像全体の集合を(X上の)密着擬位相と言う。[0,1] から Xへの定 値写像全体の集合を(X上の)離散擬位相と言う。 ■ 命題7: Xを集合とする。このとき、X上の密着擬位相は、X上の最大の 擬位相である。X上の離散擬位相は、X上の最小の擬位相である。 証明: 容易である。 ■ 定義8(両立局所区分的): Xを擬位相空間とする。Cを[0,1] から [0,1] へ の写像全体の集合の部分集合とするとき、XがC両立的であるとは、cが道 であるならば、任意の τ∈Cに対して、c◦τが道であることを言うこととす る。Xが局所的であるとは、[0,1] から Xへの任意の写像 cに対して、「「任 意の t∈[0,1] に対して、ある T0, T1∈[0,1] が存在して、[T0, T1]が[0,1] にお ける tの近傍であり、写像 t7→ c(T0+ (T1−T0)t)が道である」ならば、cは 道である」ことを言うこととする。Xが区分的であるとは、c1, c2が道であ り、c1(1) = c2(0) であり、T∈(0,1) ならば、写像 t7→ c1(t T)(t∈[0, T ]のと き)、c2(t−T 1−T)(t∈[T, 1] のとき)は道であることを言うこととする。 ■ 定義9(擬 Hausdorff): 擬位相が擬 Hausdorff(位相)であるとは、cが道 であり、c(t1)6=c(t2)であるならば、[0,1] における t1のある近傍 I1と[0,1] における t2のある近傍 I2が存在して、c(I1)∩c(I2) = ∅であることを言うこ ととする。 ■ 命題10: Cを[0,1] から [0,1] への写像全体の集合の部分集合とする。この とき、密着擬位相は C両立局所区分的である。離散擬位相は C両立局所区 分的擬 Hausdorff である。 証明: 容易である。 ■ 命題11: Xを集合とし、{Pλ}λをX上の擬位相の空でない族とする。こ のとき、∩λPλはX上の擬位相である。[0,1] から [0,1] への写像全体の集合 の任意の部分集合 Cに対して、「任意の λに対して、PλがC両立的である」 ならば ∩λPλはC両立的である。「任意の λに対して、Pλが局所的である」 ならば ∩λPλは局所的である。「任意の λに対して、Pλが区分的である」な らば ∩λPλは区分的である。「任意の λに対して、Pλが擬 Hausdorff である」 5
ならば ∩λPλは擬 Hausdorff である。 証明: 容易である。 ■ 命題12: Cを[0,1] から [0,1] への写像全体の集合の部分集合とする。Xを 集合とする。このとき、QがX上の密着擬位相の部分集合であるならば、Q を含む C両立局所区分的な X上の最小の擬位相が存在する。Qを含む C両 立局所区分的な X上の擬 Hausdorff 位相が存在するならば、Qを含む C両立 局所区分的な X上の最小の擬 Hausdorff 位相が存在する。 証明: 命題10と命題11より、容易である。 ■ 定理13(極限): Kを小圏とし、DをKから Path への共変関手とする。 (L, {pk}k∈ob(K))を集合の圏における D(と忘却関手の合成)の極限とする。 Pを[0,1] から Lへの写像 cで、任意の k∈ob(K)に対して、pk◦cが(Dk上 の)道であるもの全体の集合とする。このとき、PはL上の擬位相であり、 (P, {pk}k∈ob(K))は(Path における)Dの極限である。 証明: 擬位相であることは、容易である。pkが擬連続であることは、容易 である。u∈HomK(i, j)であるならば D(u)◦pi=pjであることは、容易で ある。 Aを擬位相空間とする。{fk}k∈ob(K)を族とする。任意の k∈ob(K)に対 して、fkはAから Dkへの擬連続写像であるとする。u∈HomK(i, j)である ならば D(u)◦fi=fjであるとする。 g, h がAから Lの擬連続写像であり、任意の k∈ob(K)に対して、pk◦g= fk, pk◦h=fkであるならば、g=hであることは、容易である。 Aから Lの写像 fが存在して、任意の k∈ob(K)に対して、pk◦f=fk である。cがA上の道であるならば、任意の k∈ob(K)に対して、fk◦cは 道であるので、pk◦(f◦c)は道である。よって、cがA上の道であるならば、 f◦c∈Pである。fは擬連続である。 ■ 系14(小完備): Kを小圏とし、DをKから Path への共変関手とする。 このとき、Dの極限が存在する。 ■ 定理15(余極限): Kを小圏とし、DをKから Path への共変関手とする。 (L, {qk}k∈ob(K))を集合の圏における D(と忘却関手の合成)の余極限とする。 Pを[0,1] から Lへの写像 cで、ある k∈ob(K)とDk上のある道 c′が存在 して、c=qk◦c′であるもの全体の集合と(L上の)離散擬位相の和集合と する。このとき、PはL上の擬位相であり、(P, {qk}k∈ob(K))は(Path におけ る)Dの余極限である。 証明: 擬位相であることは、容易である。qkが擬連続であることは、容易 である。u∈HomK(i, j)であるならば qj◦D(u) = qiであることは、容易で ある。 6
Aを擬位相空間とする。{fk}k∈ob(K)を族とする。任意の k∈ob(K)に対 して、fkはDkから Aへの擬連続写像であるとする。u∈HomK(i, j)である ならば fj◦D(u) = fiであるとする。 g, h がLから Aの擬連続写像であり、任意の k∈ob(K)に対して、g◦qk= fk, h ◦qk=fkであるならば、g=hであることは、容易である。 Lから Aの写像 fが存在して、任意の k∈ob(K)に対して、f◦qk=fk である。c∈Pであるならば、「定値写像であるか、または、ある k∈ob(K) とDk上のある道 c′が存在して、c=qk◦c′である」ので、f◦cは道である。 よって、fは擬連続である。 ■ 系16(小余完備): Kを小圏とし、DをKから Path への共変関手とする。 このとき、Dの余極限が存在する。 ■ 補題17:X, Y を擬位相空間とする。このとき、[0,1]からHomPath(X, Y )への 任意の写像 c、X上の任意の道 c′、任意の t∈[0,1] に対して、(c(t))(c′(t)) ∈Y である。[0,1] から HomPath(X, Y )への写像 cで、X上の任意の道 c′に対して、 写像 t7→ (c(t))(c′(t)) がY上の道であるもの全体の集合は、HomPath(X, Y ) 上の擬位相である。 証明: 容易である。 ■ 定義18(Hom(X;Y)、εX,Y ):X, Y を擬位相空間とする。このとき、Hom(X; Y)で擬位相を [0,1] から HomPath(X, Y )への写像 cで、X上の任意の道 c′に 対して、写像 t7→ (c(t))(c′(t)) がY上の道であるもの全体の集合とする擬 位相空間を表すこととする。X×HomPath(X, Y )から Yへの写像 εX,Y を εX,Y (x, f) := f(x)で定めることとする。(Hom(X;Y), εX,Y )を(YのX)冪 と言うこととする。 注意: 後の命題24により、実際に冪である。 ■ 補題19: (X, Y ),(X′, Y ′)をPathop ×Path の対象とし、(f, g)を(X, Y )か ら(X′, Y ′)への Pathop ×Path の射とする。このとき、f∈Hom(X′;X), g ∈ Hom(Y;Y′)である。h∈Hom(X;Y)であるならば、g◦h◦f∈Hom(X′;Y′) である。Hom(X;Y)から Hom(X′;Y′)への写像 h7→ g◦h◦fは、擬連続で ある。 証明: f∈Hom(X′;X), g ∈Hom(Y;Y′)、「h∈Hom(X;Y)であるならば g◦h◦f∈Hom(X′;Y′)であること」は、容易である。 hをHom(X;Y)上の道とする。このとき、x′がX′上の道であるならば、 (f◦x′はX上の道であるので、)写像 t7→ ((h(t)) ◦f)(x′(t)) はY上の道で あり、よって、さらに、写像 t7→ (g◦(h(t)) ◦f)(x′(t)) はY′上の道である。 写像 t7→ g◦(h(t)) ◦fはHom(X′;Y′)上の道である。擬連続である。 ■ 7
定理20: Pathop ×Path の対象 (X, Y )にHom(X;Y)を対応させ、Pathop × Path の射 (f, g)に、(f, g)は(X, Y )から (X′, Y ′)への射であるとして、Hom (X;Y)からHom(X′;Y′)への写像h7→ g◦h◦fを対応させることは、Pathop× Path から Path への共変関手である。 証明: 補題19より、容易である。 ■ 補題21: X1, X2を擬位相空間とする。PをX1の擬位相と X2の擬位相の 直積とする。このとき、PはX1×X2上の擬位相である。擬位相を Pとする 擬位相空間と X1×X2の(集合としての)標準的射影の組は、X1, X2の(擬 位相空間としての)直積である。 証明: 擬位相であることは、容易である。定理13より、直積である。■ 定理22:X, Y, Z を擬位相空間とする。このとき、(f, g)∈HomPath(X, Y )× HomPath(Y, Z)にg◦f∈HomPath(X, Z)を対応させる写像は、Hom(X;Y), Hom(Y;Z)の直積から Hom(X;Z)への擬連続写像である。 証明: 補題21より、下部集合の間の写像である。 (f, g)をHom(X;Y),Hom(Y;Z)の直積上の道(である [0,1] から HomPath (X, Y )×HomPath(Y, Z)への写像)とする。このとき、補題21より、f, g は 道である。xがX上の道であるならば、写像 t7→ (f(t))(x(t)) はY上の道で あり、よって、さらに、写像 t7→ (g(t))((f(t))(x(t))) はZ上の道である。写 像t7→ (g(t)) ◦(f(t)) は道である。擬連続である。 ■ 定理23: X, Y, A を擬位相空間とする。fをX×Aから Yへの写像とする。 Fを(F(a))(x) := f(x, a)で定まる Aから「Xから Yへの写像全体の集合」 への写像とする。このとき、fがX, A の直積から Yへの擬連続写像である ためには、FがAから Hom(X;Y)への擬連続写像であることが必要十分で ある。 証明: fが擬連続であるとする。このとき、xがX上の道であるならば、 (補題21より、(x, a)は道であるので、)(F(a))◦xは道である。よって、F(a) は擬連続である。aがA上の道であるならば、X上の任意の道 xに対して、 (補題21より、(x, a)は道であるので、)写像 t7→ (F(a(t)))(x(t)) は道であ る。よって、aがA上の道であるならば、F◦aは道である。Fは擬連続で ある。 Fが擬連続であるとする。(x, a)はX, A の直積上の道である([0,1] から X×Aへの写像である)とする。このとき、補題21より、x, a は道である。 F◦aは道である。よって、写像 t7→ ((F◦a)(t))(x(t)) は道である。f◦(x, a) は道である。fは擬連続である。 ■ 命題24(冪): X, Y を擬位相空間とする。このとき、次が成立する。 (1) εX,Y はX, Hom(X;Y)の直積から Yへの擬連続写像である。 8
2擬特異単体的集合関手の定義と簡単な基本事項 定義49(Pn ∆): n∈ {0,1,2,· · · } とする。このとき、Pn ∆で[0,1] から(Rn+1 の部分空間としての)標準 n-単体 ∆nへの連続写像 cで、任意の k∈Nと任 意の s∈[0,1] に対して、c((1 −s)1 2k+s1 2k−1) = (1 −s)c(1 2k) + sc(1 2k−1)であ るもの全体の集合を表すこととする。 ■ 補題50: n∈ {0,1,2,· · · } とする。このとき、Pn ∆は、(Rn+1 の部分集合と しての)標準 n-単体上の擬位相である。 証明: 容易である。 ■ 定義51(∆n P): n∈ {0,1,2,· · · } とする。このとき、擬位相を Pn ∆とする 擬位相空間を標準 n-擬単体と言うこととする。∆n Pで標準 n-擬単体を表すこ ととする。 ■ 補題52: n∈ {0,1,2,· · · } とする。このとき、−→ PT(Pn ∆)は(Rn+1 の部分空 間としての)標準 n-単体 ∆nの位相である。 証明: Gを∆nの開集合とする。このとき、c∈Pn ∆であるならば、(cは連 続であるので、)c−1(G)は開集合である。G∈−→ P T (Pn ∆)である。 G∈−→ P T (Pn ∆)であるとする。このとき、Gは∆nの開集合であることを示 す。背理法によるとする。Gは∆nの開集合でないとする。このとき、ある a∈Gが存在して、aはGの内点ではない。∆nのある点列 {xk}k∈Nが存在し て、任意の k∈Nに対して、xkとaの距離は 1 2k−1よりも小さく、xk6∈ Gであ る。[0,1] から ∆nへのある写像 cが存在して、c(0) = aであり、任意の k∈N と任意の s∈[0,1] に対して、c((1 −s)1 2k+s1 2k−1) = (1 −s)xk+1 +sxkであ る。c∈Pn ∆である。よって、G∈−→ P T (Pn ∆)より、c−1(G)は開集合である。と ころが、c(0) = a∈Gであり、任意の k∈Nに対して、c(1 2k−1) = xk6∈ Gで あるので、c−1(G)は開集合でない。矛盾である。Gは∆nの開集合である。 ■ 補題53: n∈ {0,1,2,· · · } とし、Tを位相とする。fを(Rn+1 の部分集合 としての)標準 n-単体から T(の下部集合)への写像とする。このとき、f が標準 n-単体 ∆nから Tへの連続写像であることと fが標準 n-擬単体 ∆n Pか ら−→ TP(T)への擬連続写像であることは、同値である。 証明1: 命題40、補題52より、容易である。 証明2: 連続であるとする。このとき、c∈Pn ∆であるならば、(cは連続で あるので、)f◦c∈−→ TP(T)である。擬連続である。 連続でないとする。このとき、標準 n-単体のある点 aが存在して、fは aで連続でない。ある G∈Tと標準 n-単体のある点列 {xk}k∈Nが存在して、 15
f(a)∈Gであり、任意の k∈Nに対して、xkとaの距離は 1 2k−1よりも小さく、 f(xk)6∈ Gである。[0,1] から標準 n-単体へのある写像 cが存在して、c(0) = a であり、任意の k∈Nと任意の s∈[0,1] に対して、c((1 −s)1 2k+s1 2k−1) = (1 −s)xk+1 +sxkである。c∈Pn ∆である。一方、(f◦c)(0) = f(a)∈Gで あり、任意の k∈Nに対して、(f◦c)( 1 2k−1) = f(xk)6∈ Gである。よって、 f◦c6∈ −→ TP(T)である。擬連続でない。 ■ 補題54:n∈ {1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n},(t0, t1, t2,· · · , tn−1)∈∆n−1で あるならば、(t0, t1, t2,· · · , tk−1,0, tk,· · · , tn−1)∈∆nである。n∈ {0,1,2,· · · }, k∈ {0,1,2,· · · , n},(t0, t1, t2,· · · , tn+1)∈∆n+1 であるならば、(t0, t1, t2,· · · , tk−1, tk+tk+1, tk+2,· · · , tn+1)∈∆nである。 証明: 容易である。 ■ 定義55(Dn k、Sn k):n∈ {1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}に対して、∆n−1から ∆nへの写像Dn kをDn k(t0, t1, t2,· · · , tn−1) := (t0, t1, t2,· · · , tk−1,0, tk,· · · , tn−1) で定めることとする。n∈ {0,1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}に対して、∆n+1 から ∆nへの写像 Sn kをSn k(t0, t1, t2,· · · , tn+1) := (t0, t1, t2,· · · , tk−1, tk+tk+1, tk+2,· · · , tn+1)で定めることとする。 ■ 補題56: Xを位相空間とする。このとき、任意の n∈ {1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}とXの任意の特異 n-単体 σに対して、σ◦Dn kはXの特異 (n−1)-単体である。任意の n∈ {0,1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}とXの任 意の特異 n-単体 σに対して、σ◦Sn kはXの特異 (n+ 1)-単体である。 証明: 容易である。 ■ 定義57(STn(X)、ˆ dX,n k、ˆsX,n k): Xを位相空間とする。このとき、n∈ {0,1,2,· · · } に対して、STn(X)で、Xの特異 n-単体全体の集合を表すことと する。n∈ {1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}に対して、STn(X)から STn−1(X) への写像 ˆ dX,n kをˆ dX,n k(σ) := σ◦Dn kで定めることとする。n∈ {0,1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}に対して、STn(X)から STn+1(X)への写像 ˆsX,n kをˆsX,n k(σ) := σ◦Sn kで定めることとする。 ■ 補題58: X, Y を位相空間とし、fをXから Yへの連続写像とする。この とき、任意の n∈ {0,1,2,· · · } とσ∈STn(X)に対して、f◦σ∈STn(Y)で ある。 証明: 容易である。 ■ 定義59(−→ TS): 位相空間 Xに対して、−→ TS(X)で、({STn(X)}n,{ˆ dX,n k}n,k, {ˆsX,n k}n,k)を表すこととする。連続写像 fに対して、−→ TS(f)で、fをXから Yへの連続写像として、tnSTn(X)から tnSTn(Y)への写像 σ7→ f◦σを 表すこととする。−→ TS で、位相空間 Xに−→ TS(X)を対応させ、連続写像 fに 16
−→ TS(f)を対応させることを表すこととする。 ■ 命題60: −→ TS は、位相空間の圏から単体的集合の圏への共変関手である。 証明: よく知られている(ようである)。 ■ 補題61:n∈ {1,2,· · · }, i ∈ {0,1,2,· · · , n−1}, j ∈ {i+1, i+2,· · · , n}であ るならば、Dn j◦Dn−1 i=Dn i◦Dn−1 j−1である。n∈ {1,2,· · · }, i ∈ {0,1,2,· · · , n− 1}, j ∈ {i+1, i+2,· · · , n}であるならば、Sn j◦Dn+1 i=Dn i◦Sn−1 j−1である。n∈ {0,1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}であるならば、Sn k◦Dn+1 k=Sn k◦Dn+1 k+1 = 1∆n である。n∈ {1,2,· · · }, i ∈ {2,· · · , n + 1}, j ∈ {0,1,2,· · · , i −2}であるなら ば、Sn j◦Dn+1 i=Dn i−1◦Sn−1 jである。n∈ {0,1,2,· · · }, i ∈ {0,1,2,· · · , n}, j ∈ {i, i + 1, i + 2,· · · , n}であるならば、Sn j◦Sn+1 i=Sn i◦Sn+1 j+1 である。 注意: 上の命題60は、通常、補題61を用いて証明されるのだろう、と 思われる。それに対して、我々は、擬位相空間の圏から単体的集合の圏への 共変関手を定義するのに補題61を用いる。さらには、以下で見るように、 我々は、補題61を証明するために命題60を使うことにする。 証明: 命題60(例えば、Dn j◦Dn−1 i= ( ˆ d∆n,n−1 i◦ˆ d∆n,n j)(1∆n) = ( ˆ d∆n,n−1 j−1◦ ˆ d∆n,n i)(1∆n) = Dn i◦Dn−1 j−1など)より、容易である。 ■ 補足62(標準複素単体):例えば、{(t0, t1, t2,· · · , tn−1)∈Cn|t0+t1+t2+· · ·+ tn−1= 1}から {(t0, t1, t2,· · · , tn)∈Cn+1|t0+t1+t2+· · · +tn= 1}への写像 をDn kと同様に定め、{(t0, t1, t2,· · · , tn+1)∈Cn+2|t0+t1+t2+· · ·+tn+1 = 1} から {(t0, t1, t2,· · · , tn)∈Cn+1|t0+t1+t2+· · · +tn= 1}への写像を Sn kと同 様に定めるとすると、補題61と類似したことが成立するように思われる。 ■ 補足63(擬概複素空間):X, Y を複素多様体、fをXから Yへの写像とす る。このとき、fが正則であることと {z∈C||z|<1}から Xへの任意の擬 正則曲線 cに対して、f◦cが擬正則曲線であることは、同値である。 注意: X, Y を(複素多様体ではなく)概複素多様体としたときの消息に ついては、私には分からない。 証明: 正則とする。このとき、擬正則曲線であることは、容易である。 擬正則曲線であるとする。このとき、{z∈C||z|<1}から{z∈C||z|<1}n への写像 z7→ (0,0,0,· · · ,0, z, 0,· · · ,0) は擬正則曲線であることと Hartogs の正則性定理より、正則である。 ■ 定義64(SPn(X)): Xを擬位相空間とし、n∈ {0,1,2,· · · } とする。こ のとき、∆n Pから Xへの擬連続写像を Xの特異 n-擬単体と言うこととする。 SPn(X)でXの特異 n-擬単体全体の集合を表すこととする。 ■ 17
補題65:(1) X, Y を擬位相空間とし、fをXから Yへの擬連続写像とする。 このとき、任意の n∈ {0,1,2,· · · } とσ∈SPn(X)に対して、f◦σ∈SPn(Y) である。 (2) Xを擬位相空間とする。このとき、任意の n∈ {1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2, · · · , n}と任意の σ∈SPn(X)に対して、σ◦Dn k∈SPn−1(X)である。任意 のn∈ {0,1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}と任意の σ∈SPn(X)に対して、 σ◦Sn k∈SPn+1(X)である。 証明: (1) 容易である。 (2) Dn k, Sn kは(連続であり、また、線分を線分に移すので、)擬連続であ ることより、容易である。 ■ 補足66(標準線分擬単体): ∆n Sを「擬位相を [0,1] から ∆nへの写像 cで、 任意の t∈[0,1] に対して、c(t) = (1 −t)c(0) + tc(1) であるもの全体の集合と する擬位相空間」とする。このとき、Dn kは∆n−1 Sから ∆n Sへの擬連続写像で あり、Sn kは∆n+1 Sから ∆n Sへの擬連続写像である。あるいは、例えば、擬位 相を区分的線形曲線全体の集合、実解析曲線(の [0,1] への制限)全体の集合 などとしても、同様である。 ■ 定義67(dX,n k、sX,n k、−→ PS): (1) Xを擬位相空間とする。このとき、n∈ {1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}に対して、SPn(X)から SPn−1(X)への写像 dX,n kをdX,n k(σ) := σ◦Dn kで定めることとする。n∈ {0,1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2, · · · , n}に対して、SPn(X)から SPn+1(X)への写像 sX,n kをsX,n k(σ) := σ◦Sn k で定めることとする。 (2) 擬位相空間Xに対して、 −→ PS(X)で、({SPn(X)}n,{dX,n k}n,k,{sX,n k}n,k) を表すこととする。擬連続写像 fに対して、−→ PS(f)で、fをXから Yへの 擬連続写像として、tnSPn(X)から tnSPn(Y)への写像 σ7→ f◦σを表す こととする。−→ PS で、擬位相空間 Xに−→ PS(X)を対応させ、擬連続写像 fに −→ PS(f)を対応させることを表すこととする。 ■ 命題68: −→ PS は、擬位相空間の圏から単体的集合の圏への共変関手である。 証明: 補題61より、容易である。 ■ 補題69: −→ TS =−→ PS ◦−→ TP である。 証明: Xを位相(空間)とする。このとき、補題53より、{STn(X)}n= {SPn(−→ T P (X))}nである。よって、さらに、{ˆ dX,n k}n,k ={d −→ T P (X),n k}n,k,{ˆsX,n k}n,k ={s −→ T P (X),n k}n,k である。−→ TS(X) = (−→ PS ◦−→ T P )(X)である。 fを連続写像とする。このとき、−→ T P (f) = fより、−→ TS(f) = (−→ PS ◦−→ T P )(f) である。 ■ 18
定理70: (1) −→ TS =−→ PS ◦−→ TP =−→ TS ◦−→ PT ◦−→ TP =−→ PS ◦−→ TP ◦−→ PT ◦−→ TP = −→ TS ◦−→ PT ◦−→ TP ◦−→ PT ◦−→ TP =· · · である。 (2) −→ PS 6=−→ TS ◦−→ PT である。 証明: (1) 定理44より、−→ PS ◦−→ TP =−→ PS ◦−→ TP ◦−→ PT ◦−→ TP =−→ PS ◦−→ TP ◦−→ PT ◦ −→ TP ◦−→ PT ◦−→ TP =· · · である。よって、補題69より、−→ TS =−→ TS ◦−→ PT ◦−→ TP = −→ TS ◦−→ PT ◦−→ TP ◦−→ PT ◦−→ TP =· · · である。これらと補題69より、容易である。 (2) [0,1] 上の離散擬位相と {1[0,1]}の和集合を P1とする。このとき、P1 は擬位相である。−→ P T (P1)は、[0,1] の(通常の)位相である。∆1から [0,1] への写像 (t0, t1)7→ t1をσとする。このとき、σ∈ST1(−→ PT(P1)) である。一 方、[0,1] から ∆1への写像 t7→ (t, 1−t)をcとして、c∈P1 ∆, σ ◦c6∈ P1で ある。σ6∈ SP1(P1)である。−→ PS(P1)6= (−→ TS ◦−→ P T )(P1)である。 ■ 補題71: (1) [0,1] から [0,1] への連続写像 cで、任意の k∈Nと任意の s∈[0,1] に対して、c((1 −s)1 2k+s1 2k−1) = (1 −s)c(1 2k) + sc(1 2k−1)であるも の全体の集合は、[0,1] 上の擬位相である。 (2) n∈ {0,1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}とする。このとき、(t0, t1, t2,· · · , tn+1)∈∆n+1 であるならば、tk+1 +tk+2 +· · · +tn+1 ∈[0,1] である。 証明: 容易である。 ■ 定義72(PI、IP、Rn k):(1) PIで[0,1] から [0,1] への連続写像 cで、任意の k∈Nと任意のs∈[0,1]に対して、c((1−s)1 2k+s1 2k−1) = (1−s)c(1 2k)+sc(1 2k−1) であるもの全体の集合を表すこととする。IPで下部集合を [0,1] とし、擬位 相を PIとする擬位相空間を表すこととする。 (2) n∈ {0,1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}に対して、∆n+1 から [0,1] への 写像 Rn kをRn k(t0, t1, t2,· · · , tn+1) := tk+1 +tk+2 +· · · +tn+1 で定めることと する。 ■ 補題73: n∈ {0,1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}とする。このとき、Rn kは ∆n+1 Pから IPへの擬連続写像である。 証明: 下部集合の間の写像である。連続であり、また、線分を線分に移す ので、擬連続である。 ■ 定義74(擬ホモトピー、擬ホモトピック、擬ホモトピー類、[f]P): Zを擬 位相空間とする。 (1) Fは(Z上の)擬ホモトピーであるとは、FがIPから Zへの擬連続 写像であることを言うこととする。Fはf0から f1への擬ホモトピーである とは、Fが擬ホモトピーあり、F(0) = f0, F (1) = f1であることを言うこと とする。(f0, f1)が(Z上で)擬ホモトピックであるとは、f0から f1への擬 ホモトピーが存在することを言うこととする。 19
(2) (Z上の)擬ホモトピー類とは、(Z上の)擬ホモトピックを含む(Z 上の)最小の同値関係による同値類を言うこととする。f∈Zに対して、[f]P でfが属する擬ホモトピー類を表すこととする。 注意1: 1[0,1] はIP上の道であるので、FがIPから Zへの擬連続写像であ るならば、FはZ上の道である。 注意2: これらの定義は、Z= Hom(X;Y)の場合を主に想定している。 ■ 命題75: X, Y を位相空間とし、Fを[0,1] から「Xから Yへの写像全体 の集合」への写像とする。このとき、次が成立する。 (1) (X×[0,1] から Yへの)写像 (x, t)7→ (F(t))(x)が(F(0) から F(1) への)ホモトピーであるとする。このとき、τが[0,1] から [0,1] への連続写 像であり、xが[0,1] から Xへの連続写像であるならば、[0,1] から Yへの写 像t7→ (F(τ(t)))(x(t)) は連続である。 (2) Fが−→ TP([0,1]) から Hom(−→ T P (X); −→ TP(Y)) への擬連続写像であるた めには、τが[0,1] から [0,1] への連続写像であり、xが[0,1] から Xへの連続 写像であるならば、[0,1] から Yへの写像 t7→ (F(τ(t)))(x(t)) が連続である ことが必要十分である。 (3) Fが(F(0) から F(1) への)Hom(−→ T P (X); −→ T P (Y)) 上の擬ホモトピー であるためには、τ∈PIであり、xが[0,1] から Xへの連続写像であるなら ば、[0,1] から Yへの写像 t7→ (F(τ(t)))(x(t)) が連続であることが必要十分 である。 (4) 写像(x, t)7→ (F(t))(x)がホモトピーであるならば、FはHom(−→ TP(X) ;−→ T P (Y)) 上の擬ホモトピーである。 証明: (1), (2), (3) 容易である。 (4) τ∈PIであるならば、τは[0,1] から [0,1] への連続写像である。よっ て、(1)、(2)、(3)より、容易である。 ■ 命題76: X, Y を位相空間とし、f0, f1をXから Yへの写像とする。この とき、次が成立する。 (1) f0, f1がホモトピックであるならば、(f0, f1)は(Hom(−→ T P (X); −→ T P (Y)) 上で)擬ホモトピックである。 (2) f0, f1がホモトピックであるならば、[f0]P= [f1]Pである。 証明: (1) 命題75(4)より、容易である。 (2) (1)より、容易である。 ■ 定理77:X, Y を擬位相空間とし、fをXから Yへの擬連続写像とする。こ のとき、x0, x1∈X, [x0]P= [x1]Pであるならば、[f(x0)]P= [f(x1)]Pである。 証明: FがIPからXへの擬連続写像であり、F(0) = x0, F (1) = x1であるな らば、f◦FはIPからYへの擬連続写像であり、(f◦F)(0) = f(x0),(f◦F)(1) = 20
f(x1)である。よって、(x0, x1)が(X上で)擬ホモトピックであるならば、 (f(x0), f(x1)) は(Y上で)擬ホモトピックである。特に、(x0, x1)が擬ホモ トピックであるならば、[f(x0)]P= [f(x1)]Pである。ところが、X上の2項 関係 [f(x0)]P= [f(x1)]Pは同値関係であるので、同値関係 [x0]P= [x1]Pを 含む。 ■ 補題78:X, Y を擬位相空間とし、Zを下部集合を X×Yとし、擬位相を「X の擬位相とYの擬位相の直積」とする擬位相空間とする。(x0, y0),(x1, y1)∈Z とする。このとき、([x0]P,[y0]P) = ([x1]P,[y1]P)であるならば、[(x0, y0)]P= [(x1, y1)]Pである。 証明: Xから Zへの写像 x7→ (x, y0)は擬連続であるので、定理77よ り、[(x0, y0)]P= [(x1, y0)]Pである。同様にして、[(x1, y0)]P= [(x1, y1)]Pで ある。[(x0, y0)]P= [(x1, y1)]Pである。 ■ 補題79: X, Y, Z を擬位相空間とし、(f0, g0),(f1, g1)∈Hom(X;Y)×Hom (Y;Z)とする。このとき、([f0]P,[g0]P) = ([f1]P,[g1]P)であるならば、(Hom(X ;Z)上で)[g0◦f0]P= [g1◦f1]Pである。 証明: Wを下部集合をHom(X;Y)×Hom(Y;Z)とし、擬位相を「Hom(X;Y) の擬位相と Hom(Y;Z)の擬位相の直積」とする擬位相空間とする。このと き、補題78より、(W上で)[(f0, g0)]P= [(f1, g1)]Pである。ところが、補 題21、定理22より、Wから Hom(X;Z)への写像 (f, g)7→ g◦fは擬連 続であるので、定理77より、[g0◦f0]P= [g1◦f1]Pである。 ■ 定理80(擬ホモトピー圏): 擬位相空間を対象とし、擬連続写像の擬ホモ トピー類を射とし、[g]P◦[f]P:= [g◦f]Pを射の合成とすると圏である。 証明: 補題79より、容易である。 ■ 定義81(Sn(X)、SP,n(X)): (1) Xを位相空間とし、n∈Zとする。この とき、Sn(X)でXの特異 n-チェイン群を表すこととする。 (2) Xを擬位相空間とし、n∈Zとする。このとき、SP,n(X)で、n∈ {0,1,2,· · · } であるときは SPn(X)を、n∈ {0,1,2,· · · } でないときは ∅を基 底とする自由 Z-加群を表すこととする。SP,n(X)を(Xの)擬特異 n-チェイ ン群と言うこととする。SP,n(X)の要素を(Xの)擬特異 n-チェインと言う こととする。 ■ 定義82(∂X n、∂X P,n): (1) Xを位相空間とし、n∈Zとする。このとき、 ∂X nでXの特異 n-境界写像を表すこととする。 (2) Xを擬位相空間とし、n∈Zとする。このとき、∂X P,n で、n∈ {1,2,· · · } であるときは σ∈SPn(X)に対して ∂X P,n(σ) := ∑k∈{0,1,2,··· ,n}(−1)kdX,n k(σ)で 定められる SP,n(X)から SP,n−1(X)への Z-準同型を、n∈ {1,2,· · · } でないと きは SP,n(X)から SP,n−1(X)への Z-準同型 0を表すこととする。∂X P,n を(X 21
の)擬特異 n-境界写像と言うこととする。 ■ 定義83(−→ TC、−→ PC): (1) 位相空間 Xに対して、−→ TC(X)で、({Sn(X)}n, {∂X n}n)を表すこととする。連続写像 fとn∈Zに対して、−→ TCn(f)で、fを Xから Yへの連続写像として、n∈ {0,1,2,· · · } であるときは σ∈STn(X) に対して (−→ TCn(f))(σ) := (−→ TS(f))(σ)で定められる Sn(X)から Sn(Y)への Z-準同型を、n∈ {0,1,2,· · · } でないときは Sn(X)から Sn(Y)への Z-準同型 0を表すこととする。連続写像 fに対して、−→ TC(f)で、 {−→ TCn(f)}nを表すこ ととする。−→ TC で、位相空間 Xに−→ TC(X)を対応させ、連続写像 fに−→ TC(f) を対応させることを表すこととする。 (2) 擬位相空間 Xに対して、−→ PC(X)で、({SP,n(X)}n,{∂X P,n}n)を表すこ ととする。擬連続写像 fとn∈Zに対して、−→ PCn(f)で、fをXから Yへ の擬連続写像として、n∈ {0,1,2,· · · } であるときは σ∈SPn(X)に対して (−→ PCn(f))(σ) := (−→ PS(f))(σ)で定められる SP,n(X)から SP,n(Y)への Z-準同 型を、n∈ {0,1,2,· · · } でないときは SP,n(X)から SP,n(Y)への Z-準同型 0 を表すこととする。擬連続写像 fに対して、−→ PC(f)で、 {−→ PCn(f)}nを表す こととする。−→ PC で、擬位相空間 Xに−→ PC(X)を対応させ、擬連続写像 fに −→ PC(f)を対応させることを表すこととする。 ■ 命題84: (1) −→ TC は、位相空間の圏から(Z上の)チェイン複体の圏への 共変関手である。 (2) −→ PC は、擬位相空間の圏からチェイン複体の圏への共変関手である。 証明: (1) よく知られている。また、命題60より、容易である。 (2) 命題68より、容易である。 ■ 定義85((X×I)P): Xを擬位相空間とする。このとき、(X×I)Pで擬位 相を「Xの擬位相と PIの直積」とする擬位相空間を表すこととする。 ■ 補題86: n∈ {0,1,2,· · · }, k ∈ {0,1,2,· · · , n}とする。このとき、次が成 立する。 (0) Xを集合とする。このとき、σが∆nから Xへの写像であるならば、 (σ◦Sn k, Rn k)は∆n+1 から X×[0,1] への写像である。 (1) Xを位相空間とする。このとき、σ∈STn(X)であるならば、(σ◦ Sn k, Rn k)∈STn+1(X×[0,1]) である。 (2) Xを擬位相空間とする。このとき、σ∈SPn(X)であるならば、(σ◦ Sn k, Rn k)∈SPn+1((X×I)P)である。 証明: (0), (1) 容易である。 (2) 補題65(2)、補題73より、容易である。 ■ 22
定義87(ΦX n、ΦX T,n、ΦX P,n): n∈Zとする。 (0) Xを集合とする。このとき、ΦX nで、n∈ {0,1,2,· · · } であるときは ∆nから Xへの写像 σに対して ΦX n(σ) := ∑k∈{0,1,2,··· ,n}(−1)k(σ◦Sn k, Rn k)で 定められる「∆nから Xへの写像全体の集合を基底とする自由 Z-加群」から 「∆n+1 から X×[0,1] への写像全体の集合を基底とする自由 Z-加群」への Z準同型を、n=−1であるときは「∅を基底とする自由 Z-加群」から「∆0か らX×[0,1] への写像全体の集合を基底とする自由 Z-加群」への Z-準同型 0 を、n∈ {−1,0,1,2,· · · } でないときは「∅を基底とする自由 Z-加群」から 「∅を基底とする自由 Z-加群」への Z-準同型 0を表すこととする。 (1) Xを位相空間とする。このとき、ΦX T,n で、ΦX T,n(c) := ΦX n(c)で定め られる Sn(X)から Sn+1(X×[0,1]) への Z-準同型を表すこととする。 (2) Xを擬位相空間とする。このとき、ΦX P,n で、ΦX P,n(c) := ΦX n(c)で定 められる SP,n(X)から SP,n+1((X×I)P)への Z-準同型を表すこととする。■ 命題88(プリズム分解): Xを位相空間とする。i0をXから X×[0,1] へ の写像 x7→ (x, 0) とし、i1をXから X×[0,1] への写像 x7→ (x, 1) とする。 このとき、i0, i1は連続である。{ΦX T,n}nは−→ TC(i0)から −→ TC(i1)へのチェイン・ ホモトピーである。 証明: 連続であることは、容易である。チェイン・ホモトピーであること は、よく知られているようである(例えば、 河澄響矢『トポロジーの基礎』 第2.2節などに見られる)。 ■ 定理89(チェイン・ホモトピー): Xを擬位相空間とする。i0をXから (X×I)Pへの写像x7→ (x, 0)とし、i1をXから (X×I)Pへの写像 x7→ (x, 1) とする。このとき、次が成立する。 (0) i0, i1は擬連続である。 (1) {ΦX P,n}nは−→ PC(i0)から −→ PC(i1)へのチェイン・ホモトピーである。 (2) Yを擬位相空間とする。fを(X×I)Pから Yへの擬連続写像とす る。このとき、{(−→ PCn+1(f)) ◦ΦX P,n}nは−→ PC(f◦i0)から −→ PC(f◦i1)へのチェ イン・ホモトピーである。 注意: ここでも、補題61の証明と同様に、話の筋を逆転させて、我々は、 (1)を証明するために命題88を用いる。 証明: (0) 容易である。 (1) XTを下部集合を X(の下部集合)とする密着位相空間とする。iT,0を XTから XT×[0,1] への写像 x7→ (x, 0) とし、iT,1をXTから XT×[0,1] への 写像 x7→ (x, 1) とする。このとき、命題88より、∂XT×[0,1] n+1 ◦ΦXT T,n + ΦXT T,n−1 ◦∂XT n=−→ TCn(iT,1)−−→ TCn(iT,0)である。よって、c∈SP,n(X)であるならば、 23
(c∈SP,n(X)⊂Sn(XT)であるので、)∂(X×I)P P,n+1 (ΦX P,n(c)) + ΦX P,n−1(∂X P,n(c)) = (−→ PCn(i1))(c)−(−→ PCn(i0))(c)である。 (2) (1)、命題84(2)より、容易である。 ■ 命題90(擬ホモトピー不変性): Hをチェイン複体にそのホモロジー群(の 列)を対応させるチェイン複体の圏から加群(の列)の圏への(通常の)共 変関手とする。X, Y を擬位相空間とし、f0, f1∈Hom(X;Y)とする。このと き、[f0]P= [f1]Pであるならば、(H◦−→ PC)(f0) = (H◦−→ PC)(f1)である。 証明: まず、(f0, f1)が擬ホモトピックであるならば、(H◦−→ PC)(f0) = (H◦ −→ PC)(f1)であることを示す。Fはf0から f1への擬ホモトピーであるとする。 fをX×[0,1] から Yへの写像 (x, t)7→ (F(t))(x)とする。このとき、補題 21、定理23より、fは(X×I)Pから Yへの擬連続写像である。よって、 定理89(2)より、{(−→ PCn+1(f)) ◦ΦX P,n}nは−→ PC(f0)から −→ PC(f1)へのチェ イン・ホモトピーである。H(−→ PC(f0)) = H(−→ PC(f1)) である。(f0, f1)が擬ホ モトピックであるならば、(H◦−→ PC)(f0) = (H◦−→ PC)(f1)である。ところが、 Hom(X;Y)上の2項関係 (H◦−→ PC)(f0) = (H◦−→ PC)(f1)は同値関係であるの で、同値関係 [f0]P= [f1]Pを含む。 ■ 感想91(被覆擬ホモトピー性質): I1, I2を下部集合を [0,1] とする擬位相空 間とする。pを擬位相空間 Eから擬位相空間 Bへの擬連続写像とする。この とき、pが擬位相空間 Xに対して (I1, I2)-被覆擬ホモトピー性質を持つとは、 任意の f∈Hom(X;E)とI1から Hom(X;B)への任意の擬連続写像 Hに対し て、「H(0) = p◦fであるならば、I2から Hom(X;E)へのある擬連続写像 ˜ H が存在して、 ˜ H(0) = fであり、任意の t∈[0,1] に対して、p◦(˜ H(t)) = H(t) である」ことを言うこととする。I1, I2としては、例えば、擬位相を「離散擬 位相と {1[0,1]}の和集合」とする擬位相空間、IP、−→ T P ([0,1]) などが考えられ るように思われる。 ■ 感想92(幾何学的実現など):(1) 単体的集合 Sに対して、|S|でSの(通常 の)幾何学的実現を表すとして、Pが擬位相であるとき、Pと−→ T P (|−→ PS(P)|) の関係も気になるところではあるようにも思われる。 (2) 幾何学的実現の「類似物の例」として、例えば、複素幾何学的実現 のようなものが(この例では、補足62、補足63などに関連をして)考え られないであろうか?あるいは、例えば、また、(もしも「線形接続」の幾何 学というものが仮にあるとして、)一般化された測地線の幾何学のようなも のが(この例では、補足66などに関連をして)考えられないだろうか?■ 24 View publication stats