Universal Dirichlet form of symmetric Markov chain (Japanese)
Abstract
We give quadratic form independent of choice of reversible measure. Donsker, Varadhan, Asymptotic evaluation of certain markov process expectations for large time.
Full text
See discussions, stats, and author profiles for this publication at: https://www.researchgate.net/publication/372770176 Research Proposal · July 2023 DOI: 10.13140/RG.2.2.30440.03840 CITATIONS 0 1 author: Hiroki Yagisita Kyoto Sangyo University 37 PUBLICATIONS26 CITATIONS SEE PROFILE All content following this page was uploaded by Hiroki Yagisita on 31 July 2023. The user has requested enhancement of the downloaded file.
対称マルコフ連鎖の普遍ディリクレ形式 (可逆測度の選択に依存しない2次形式) Universal Dirichlet form of symmetric Markov chain (Quadratic form independent of choice of reversible measure) Hiroki Yagisita (Kyoto Sangyo University) {1,2,··· , n}上の時間的に一様な連続時間マルコフ過程は、n次Q行列 に対応していた。さらに、mがその対称化測度(の一つ)であるとすると、 (ディリクレ形式の理論の非常に簡単な場合として、)n次元実内積空間 L2(m) 上の非負2次形式が定まった。「通常のディリクレ形式」では、異なる対称 化測度には、異なる空間上の2次形式が対応している。 本原稿では、対称化測度が存在すれば、Rn上の非負2次形式が(対称化 測度の選択に依存せずに)自然に一意に定まることを示す。(もしも密度の 平方根をご存じであれば、「この異なる空間上の2次形式は、実は、密度の 平方根によって自然に同一視される」ということである、ということも本原 稿をお読みになって、少々、ご検討くだされば、ご了解いただけると思う。) 対称化可能な n次Q行列にRn上の非負2次形式を対応をさせるこの対応を E(:= {EQ}Q)で表すこととする。「対応 Eは単射であること(すなわち、Rn 上の同一の2次形式に対応するマルコフ過程は存在すれば、ただ一つであ ること)」、及び、「{mk}n k=1 をすべての成分が正であるベクトルとすると、 {mk}n k=1 がQの対称化測度であることとその平方根 {√mk}n k=1 がEQの対称 行列の固有値0の固有ベクトルであることは同値であること」を示す。この 最後の主張は、前原稿『ギブス測度の特徴付けに関する覚書』で干渉 Brown 粒子系に関して提案した予想に類似のものであり、実は、そもそも、本原稿 は「この予想が成立しているとすれば、その裏には、何か、一般的な機構が 働いているのではないか?しかも、それは密度の平方根による何らかの普遍 性の現れではないか?」と考えたことによる。本原稿の観察から、有限状態 という非常に簡単な場合に限れば、ディリクレ形式は可逆測度に本質的に依 存したものではないと考えて良いように思われる。第2節では、対称化測度 (至るところで正の可逆測度)の存在を仮定しない場合への修正を議論する。 ところで、エルゴード分割可能なものは各分割の総合であるが、相転移は、 「パラメータを固定すると、その総合に特に脈絡はない」が、「パラメータを 導入すると、マルコフ過程の連続変形であるもの」で、従って、相転移点の 近傍での分岐を追うことから、理解が始まることが多いと考えても良いか? 1
1対称マルコフ連鎖の場合 {qi,j}i,j を保存的な Q行列とする(すなわち、[i6=j⇒qi,j ≥0],[∑jqi,j = 0] とする)。{{pi,j(t)}i,j}t∈[0,+∞)を{qi,j}i,j の推移行列とする(すなわち、 {pi,j(t)}i,j := e({qi,j }i,j )tとする)。このとき、{pi,j(t)}i,j は保存的である(す なわち、∑jpi,j(t) = 1 である)。 定義1: {mi}iが可逆測度であるとは、mi≥0, miqi,j =mjqj,i を満たすこ とを言うこととする。{mi}iが対称化測度であるとは、mi>0, miqi,j =mjqj,i を満たすことを言うこととする。 □ 命題2: {miqi,j}i,j ={mjqj,i}i,j であるためには、{{mipi,j(t)}i,j}t∈[0,+∞) ={{mjpj,i(t)}i,j}t∈[0,+∞)であることが必要十分である。 ■ 命題3: {mi}iを可逆測度とする。このとき、{cimi}iが可逆測度であ ること、{cimi}iが不変測度であること、及び、{i|mi>0}のある分割 {Ik}k が存在して、 [mi>0, mj>0, qi,j 6= 0] =⇒[ある kが存在して、i, j ∈Ik], i, j ∈Ik=⇒ci=cj≥0, であることは互いに同値である。 証明: 例えば、{i|mi>0}に制限した過程に対して、これらの条件が エルゴード分割が「ciの値による分割」の細分である、という条件と同値で あることによる。 ■ 補題4: {mi}iを可逆測度とする。このとき、{cimi}iが可逆測度であ ること、{ci|ci|mi}iが可逆測度であること、{cimi}iが不変測度であること、 及び、{ci|ci|mi}iが不変測度であることは互いに同値である。 証明: 命題3より、容易である。 ■ さて、m(:= {mi}i)が可逆測度であるとき、mに関する(通常の)ディリ クレ形式を Dmと書くこととする。すなわち、{fi}i,{gj}j∈L2(m)に対して、 Dm({fi}i,{gj}j) := −∑ i,j miqi,jfigj である。さらに、∑jqi,j = 0 より、 Dm({1}i,{1}j) = 0 である。ところで、さらに、mが対称化測度であるとき、L2(m)は対応 {xi}i∈Rn7→ { xi √mi}i∈L2(m) 2
によって標準的な内積空間 Rnと内積空間として自然に同型である(因みに、 半順序構造も保存する)から、Dmと合成して、Rn上の非負2次形式 ({xi}i,{yj}j)∈(Rn)27→ −∑ i,j miqi,j √mimj xiyj∈R を考えることは自然であろう。ところが、次の定理として示すように、実は、 これは対称化測度の選択には依存しない。 定理5: {mi}i,{m′ i}iを対称化測度とする。このとき、 miqi,j √mimj =√mi mj qi,j =√m′ i m′ j qi,j =m′ iqi,j √m′ im′ j である。 証明: 命題3より、m′ i mi6=m′ j mjならば qi,j = 0 である。 ■ 定理5によって、対称化可能な Q(:= {qi,j}i,j)に対して、非負実対称行列 AQを AQ:= {− miqi,j √mimj}i,j で定め、さらに、Rn上の非負2次形式 EQを EQ({xi}i,{yj}j) := −∑ i,j miqi,j √mimj xiyj で定める。EQを(対称マルコフ連鎖の)普遍ディリクレ形式と言うことに する(密度の平方根をご存じであれば、普遍ディリクレ形式は「各実測度に 対して、そのエネルギーを定めたものである」と考えるのが自然である、と いうことが少々、ご検討くだされば、了解いただけるでしょう)。 定理6: Q(:= {qi,j}i,j)は対称化可能であるとする。{mi}i∈[0,+∞)n とする。このとき、AQ({√mi}i) = 0 であることと {mi}iがQの可逆測度で あることは同値である。 証明: ある{m′ i}iが存在して、{m′ i}iは対称化測度である。ところが、この とき、AQ({√mi}i) = 0 ⇐⇒ {∑j m′ iqi,j √m′ im′ j√mj}i= 0 ⇐⇒ {∑j m′ iqi,j √m′ j√mj}i= 0⇐⇒ {∑j m′ jqj,i √m′ j√mj}i= 0 ⇐⇒ {∑jqj,i√mj m′ j m′ j}i= 0 ⇐⇒ (tQ)({√mi m′ i m′ i}i) = 0である。よって、AQ({√mi}i) = 0 であることは、{√mi m′ i m′ i}iが不変測度で あることと同値であり、さらに、補題4によって、{√mi m′ i|√mi m′ i|m′ i}iが可逆 測度であることと同値である。 ■ 3
定理7: Q(:= {qi,j}i,j), Q′(:= {q′ i,j}i,j)は対称化可能であるとする。AQ= AQ′であるとする。このとき、Q=Q′である。 証明: ある {mi}iが存在して、{mi}iはQの対称化測度である。定理6 より、{mi}iはQ′の対称化測度である。よって、−miqi,j √mimj=−miq′ i,j √mimjである。 ■ 次の命題は、普遍ディリクレ形式全体の集合の特徴付けを与える(因み に、反応拡散系業界の方は、{e−({ai,j }i,j )t}t∈[0,+∞)に関する条件として容易に 読み替えることができるでしょう)。 命題8: {ai,j}i,j を実対称行列とする。このとき、「ある対称化可能な Qが存在して、{ai,j}i,j =AQ」であるためには、 i6=j=⇒ai,j ≤0, ある x∈(0,+∞)nが存在して、({ai,j}i,j)x= 0 であることが必要十分である。 証明: 必要は容易である。十分を示す。ある {mi}i∈(0,+∞)nが存在 して、{∑jai,j√mj}i= 0 である。このとき、{−√mimjai,j mi}i,j は(保存的な) Q行列である。{mi}iは対称化測度である。 ■ 4
2対称化測度の存在を仮定しない場合 SymSup := {i|ある可逆測度 {mj}jが存在して、mi>0}と定める。 補題9:{mi}i,{m′ i}iが可逆測度であるならば、{mi+m′ i}iは可逆測度で ある。 ■ 命題10:ある可逆測度 {mi}iが存在して、SymSup = {i|mi>0}である。 証明: 補題9より、容易である。 ■ 命題10によって、SymSup に制限した過程を考えれば良いということに なるであろう。そうすると、「一般の可逆測度」の台に制限した過程(の普遍 ディリクレ形式)との関連が気になって来ると思われるが、これに関して、 次の命題11、命題12が成立する。 命題11: 対称化可能であるとする。{m′ i}iを可逆測度とする。{i|m′ i> 0}={1,2,··· , n′}とする。このとき、ある可逆測度 {m′′ i}iが存在して、 {i|m′′ i>0}={n′+ 1, n′+ 2,··· , n}である。 証明: ある {mi}iが存在して、{mi}iは対称化測度である。このとき、 命題3より、{mi}iの{n′+ 1, n′+ 2,··· , n}への制限は可逆測度である。■ 命題12: {m′ i}i,{m′′ i}iを可逆測度とする。{i|m′ i>0}={1,2,··· , n′}, {i|m′′ i>0}={n′+ 1, n′+ 2,··· , n}とする。このとき、「元の過程」の普遍 ディリクレ形式 EQは、(それぞれ、{i|m′ i>0}、{i|m′′ i>0}に)「制限した 過程」の普遍ディリクレ形式の和である。 証明: 命題3と補題9より、容易である。 ■ 感想: 「コンパクト距離付け可能空間」のマルコフ過程に一般化をした 場合についても、(有限状態の場合と同様に)「ある可逆測度が存在して、任 意の可逆測度が絶対連続である」ときは、「通常のディリクレ形式」に容易 に帰着して理解できることが多いと思われる。一方、例えば、「確率ギブス 測度が一意に存在する系」から「連続的な対称性を破った確率ギブス測度が 出現する系」への相転移を理解するためには、「通常のディリクレ形式」に 容易に帰着できない議論が必要かもしれないし、それ以前に、パラメータを 固定するごとに確率ギブス測度が一意に存在している場合でも、「すべての 確率ギブス測度が絶対連続となるσ有限な測度が存在しない」ような連続的 変化を理解するためには、「通常のディリクレ形式」に容易に帰着できない 議論が必要かもしれない。前原稿の予想の拡張として、Mをエルゴード的な 確率ギブス測度全体の集合とすると、Mは「普遍ディリクレ形式」の固有値 0の固有空間の正規直交基であり、ヒルベルト空間は ⊕m∈ML2(m)であり、 普遍ディリクレ形式は m∈Mのディリクレ形式の和である、と思われる。 この予想に関連をしそうな既存の結果を少しばかり探して見たところ、命題 3の定常問題における類似物として、Georgii の定理7.7などに見られる 結果がよく知られているようである。 □ 5
Georgii, Gibbs measures and phase transitions, De Gruyter. Albeverio, Kondratiev, Rockner, Ergodicity of L2-semigroups and extremality of Gibbs states, Journal of Functional Analysis. 「密度の平方根」の良く知られた(無自覚な?)使用の例 https://www.researchgate.net/publication/361508063 統計多様体のフィッシャー計量は密度の平方根の内積が誘導する計量で ある。 https://www.researchgate.net/publication/371409124 6 View publication stats